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今後10年で中小企業の半数(198万社)が世代交代、年間1万社以上の黒字企業が後継者不在で廃業する見通しというショッキングなリポートがある。事業承継問題は深刻な一方、最近、娘が後継者候補になるケースが増えている。山梨県甲州市のワイン製造業、中央葡萄酒もそのひとつ。

4代目三澤茂計社長の娘、三澤彩奈さんは取締役栽培醸造部長。本場フランス・ボルドー大学でワインを学び、山梨で働きながら冬にはチリやアルゼンチンで武者修業してきたツワモノ。「祖父や父がやってきたことが、正しいと証明したい」とワイン造り賭ける情熱を語る。

中央葡萄酒の創業は1923年(大正12年)、世界最大のワインコンクール「デカンター・ワールド・ワイン・アワード」で金賞を受賞(2014年)するまで90年の歳月を要した。世界一の称号を手に入れるまで、5代続く同社のワイン造りへの地道な取り組みがあった。山梨は日本有数のブドウの産地。とくに同社が拘ったのが「甲州」という日本固有の品種だった。

いつか「甲州」を使ったワインで世界に打って出るというのが、代々受け継がれた悲願だった。同社が取り組んだのは自社農場の開園だった。それまで、契約農家から仕入れたブドウで生産していたが、自ら新しい栽培方法を試して品質を高めようとしたのだ。それまでの一般的な棚栽培から、本場ヨーロッパでワイン用ブドウ栽培で行われている垣根栽培に変更した。

さらに、垣根の土を盛り、水はけの良い高畝式を導入。手間がかかり収穫量は減るものの糖度が上がって旨味が増すのだ。そして、初めて糖度20度を超える甲州が収穫できた。その甲州で造ったワインが日本初の快挙を遂げるのである。

「まだ世界の土俵に上がったばかり。横綱と対等に渡り合えるようになりたい」という父の想いを受けて彩奈さんは、さらなる品質向上のため優良な木を選りすぐって新しい畑を作ろうとしている。ワイン造り90年でようやく立った世界の桧舞台、ここをスタートラインに世界への挑戦が始まっていた。

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