仕事に役立つ図書館
人を大切にする経営学会の毎週、金曜日に学会員に配信されるメルマガ。
本日の巻頭言。
ビジネスマンで今の経営に疑問を感じられる方は、人を大切にする経営学会の会長である法政大学大学院、坂本光司教授の本を図書館、本屋で見て欲しい^ ^
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仕事に役立つ図書館
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人を大切にする経営学会 副会長 竹内 利明
武蔵野大学 客員教授
ビジネス支援図書館推進協議会 会長
皆様の持つ「図書館」のイメージを変えたいと思い、本稿を寄稿しました。
その結果、平日に図書館を利用する会員が増えることを期待します。平日に
図書館を使うのは、皆様の家族ではなく、忙しい仕事に追われている現役世代
の「人を大切にする経営学会」の中核を担う企業経営者や管理職の皆様です。
では、皆様の図書館に対する現在のイメージはどのようなものでしょうか?
「学生時代に受験勉強で利用した」、「文学や趣味の本を無料で貸している」、
「絵本の読み聞かせで家族がお世話になっている」などだと思います。
「仕事で使う」、「仕事に必要な情報を収集する」という人は、ほとんどいないと
思います。
確かに、これまでの図書館に対する一般的なイメージは、趣味、娯楽的な要素が
強く、「無料の貸本屋」と揶揄されることもありました。
しかし、近年、仕事や生活に役立つ、課題解決サービスを提供する図書館が
増えています。全国公立図書館協議会の平成26年度調査報告書によると課題解決
サービスとは「住民の生活や仕事に関する課題や地域の課題の解決に向けた活動
を支援するため、住民の要望並びに地域の実情を踏まえて実施されるサービス」
と定義しています。
そして、課題解決サービスを
(1)ビジネス情報
(2)健康・医療情報
(3)法律情報
(4)行政情報
に分類して調査した結果を報告しています。
その中から今回はビジネス情報に絞り報告します。
調査時点で全国の基礎自治体は、1,718あり、図書館設置自治体は1,311、設置率
は76.8%です。
公立図書館は都道府県立図書館と基礎自治体である市区町村立図書館があり、担う
役割が多少違います。他にも、国立国会図書館、議会図書館、学校図書館、専門
図書館などがあります。今回は、一番身近にある市区町村立図書館を中心に一部
都道府県立図書館にも焦点を当てます。市区町村でビジネス情報を提供している
図書館を持つのは525あります。皆様のお住まいのまたはお勤めの自治体には公立
図書館があると思います。自治体に図書館があれば、約4割は、中央館等でビジ
ネス情報を提供しています。
また、全ての都道府県が都道府県立図書館を図書館を設置していますが、47都道
府県中、45都道府県がレベルの差はあるものの、ビジネス情報を提供しています。
そこで、図書館だからこそできるビジネス支援サービスの代表例を紙面の関係で
説明します。
1.レファレンス
レファレンスという言葉をご存知ですか?
図書館のレファレンスサービスは、「調査・相談」や「資料相談」と言います。
平成27年度、図書館界で「地方創生レファレンス大賞」が創設されました。
最も優秀なレファレンスに対して、文部科学大臣賞が授与されました。表彰
された3件とも、会社や仕事に必要な情報を図書館に相談したものです。
筆者も審査員として登壇しています。
1)文部科学大臣賞
「中心市街地活性化に繋がる図書館活用 ~マチナカの人・歴史・再発見!~」
応募者:鳥取市中心市街地活性化協議会・タウンマネージャー・成清仁士氏
レファレンスサービスを受けた図書館:鳥取県立図書館
2)公益財団法人図書館振興財団賞
「遠隔画像診断事業立ち上げ時の課題解決」
応募者:株式会社ワイズ・リーディング・中山善晴氏
レファレンスサービスを受けた図書館:熊本県立図書館
3)審査員会特別賞
「創業300年の老舗をひご野菜でブランド化」
応募者:くまもと森都心プラザ図書館・河瀬裕子氏
レファレンスサービスを利用した人:細工豆腐製造卸販売の老舗「麩屋氏助」
4)地方創生レファレンス大賞 最終審査・授賞発表(図書館総合展)
以下のサイトで授賞式の動画を見ることができます。
https://libraryfair.jp/forum/2015/1832
以上見て分かるように、レファレンスは、ビジネス情報に関するものが主流です。
図書館の持つ資料やデータベース、そして司書の受けてきた教育等により、その
レベルには差があります。
2.ビジネス相談会
図書館で相談に応じるのは中小企業診断士等の専門家ですが、図書館司書が同席
します。司書は、相談内容に適した文献等を蔵書やデータベースから選び、専門家
と相談者に紹介して、必要なら貸出の手続きをします。このような形態の相談会は、
図書館以外で実施するのは難しいと思います。
3.その他の図書館サービス
農業支援、商店街支援(まちゼミ支援)、製造業の商品開発支援、観光支援、
マーケティング支援、創業支援、就職情報提供、高校生ビジネスプラン作成講座、
企業広報支援、ビジネスコーナー設置、ビジネスセミナー開催など
公共図書館をビジネス情報の収集に活用してみてください。
ただし、6割の図書館では、現段階ではビジネス情報提供をしていないので、
ご注意ください。
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