高知市の山崎理恵さんと音十愛さん


高知市の山崎理恵さんと音十愛さん

高知新聞にまた連載された。

奇跡の笑顔 全盲・重複障害を生きる(22)怖くて足がすくみそう
(2017.06.11 08:15)

2017年3月、音十愛ちゃんは高知県立盲学校小学部を卒業した。母(右)、兄、担任の先生と(高知市大膳町)

■NPO立ち上げます!■
 全盲の重複障害児、山崎音十愛ちゃん(当時11歳)の母、理恵さん(当時49歳)=高知市=から2016年末に届いたメールに私は仰天した。

 2017年秋に重症児向け放課後等デイサービス事業を始める。そのため、年明けに運営母体のNPO法人設立への総会を開くという。放課後デイとは障害児(6~18歳)のための“学童保育”。母親の休息確保や仕事を可能にするための施設だ。

 「連載の反響や、みなさんから共感をいただいた事実が、事業に挑戦する勇気をくれました。考えると怖くて足がすくみますが、仲間のみんなと残りの人生『諦めきれない思い』を一つ一つ実現していきたいと思います」とあった。

 1年前の高知新聞連載「音十愛11歳 奇跡の笑顔」終了後、看護師として11年ぶりに復帰したものの、まだ3カ月だ。シングルマザーが逆境の中で生き抜いてきた姿が感動を呼び、講演依頼や雑誌取材が相次いでいたことは聞いていた。だが、それとこれとは別だ。「お金もないのに無謀ですよ」と電話を入れた。

 初期費用に1千万円もかかる。全額借金だという。音十愛ちゃんは春から高知県立盲学校の中学部へ上がる。「なるだけ早く寄宿舎に入れて自立の訓練をさせたい」が目標だったはずだ。娘が体調を崩せば自分を窮地に追い込みかねない。「リスク高すぎ!」と心配すると、こんな説明が返ってきた。

 講演で「連載を読んで涙が出た」と声を掛けられるという。障害児ママ仲間からも「私の人生に勇気を与えてくれた」と感想が相次いだそうだ。

 「なぜそれほど評価をしていただけるのか。母としてやるべきことをやってきただけなのに。なんだかうれしくて。自分の中に自信が芽生えたような感じがしたんです」

 そう思い始めた時、強力な助っ人の存在を知った。重症児を昼間預かるデイサービス事業を名古屋で展開しているNPO法人の鈴木由夫(よしお)理事長(66)だ。「なければ創ればいい」を合言葉に、母親自らが施設を造ることを提唱。全国に仲間を増やしていた。

 東京の知人に教えられ、「これだ!」とひらめく。理事長を高知へ招いて話を聞き、準備を進めてきたという。そしてまず、NPO法人設立に必要な賛同者10人をそろえたのだが、メンバーの顔ぶれが抜群だった。高知医療センターの病院長や重心児者施設「土佐希望の家」の前療育部長、社会保障に精通した大学教授らもいた。

 だが、借金も大きいし、音十愛ちゃんも心配だ。「勇気ある撤退も必要ですよ」と再考を求めたが、1月半ばに総会を開き、高知県庁担当課に法人設立を申請、退路を断った。

 後日、直接会うと1枚のチラシを見せてくれた。「私、来月、東京へ行くんですよ。私みたいなお母さん4人が事例発表するんです。鈴木さんに呼ばれて。ほら、ここに『高知・山崎理恵』ってあるでしょ。ドキドキするけど、勉強できるいい機会だし」。突っ走り始めていた。

 ◇……………………◇ 

 2017年春、音十愛ちゃんは中学生になった。姉は高校生に。そして、母は事業所開設へまっしぐら。事業経験ゼロの母親が一気に人生のギアを上げた。法人名は「みらい予想図」。母の挑戦を追った。

あす16日金曜日13時から17時まで高知工科大学永国寺キャンパスで開催される人を大切にする経営学会のフォーラムに理恵さんと音十愛さんと参加する。懇親会にも参加する。
障がい者雇用に一生をかけた、法政大学大学院 坂本 光司教授と初対面となる。

全国から応援ができる。

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