「日本でいちばん」のランドセルメーカー「協和」③従業員と消費者に「優しい会社」
株式会社協和 若松秀夫専務講話③(2017年9月22日)
坂本光司教授『日本でいちばん大切にしたい会社』シリーズ4に掲載のランドセルメーカー、株式会社協和(東京都千代田区)の若松秀夫専務の講話の詳報の3回目。経営の目的は「優しい会社」。第3回では、従業員と消費者に対す実践について取り上げる。(メモ・研究生/中小企業診断士 神原哲也)
・「優しい会社」の実践
【対「従業員」】
①雇用の安定確保②高齢者の継続雇用③障がい者雇用④職場の安全⑤社員支援⑥社員持株会、があります。
健康診断は前からやっていますが、今年からがん検診をやることにした。「費用は全部会社が持つ。費用は5000円以上かかりますが、元手は?自分たちで稼ぎ出そう」と言っています。
従業員は10年で50人増えました。責任を持って育てられる人数である4-5人を毎年採用してきました。採用した以上は定年までいてもらおうと考えています。多く採用して、後でふるいにかけるなんてとんでもないことです。
採用では、経営の理念を丁寧に説明して、自分の価値観と違ったら応募しないで下さい、といっています。
協和の従業員のうち35%は60歳以上です。10%以上は65歳以上です。高齢者には座ってできる作業などを考えてあげています。
障がい者は現在8人で全体の4%(法定は2%)。健常者と一緒に働きます。口がきけない人がきたときは文盲だったのが、今はひらがながわかる、など仕事をすることで成長しています。また高齢者と障がい者がペアで仕事をすることもやっています。
安全のため新しく開発した溶剤を使っているのですが、会社は自分たちの健康に無関心ではないと現場には思ってもらっています。これは値段か高い製品ですが、現場は、自分たちのために入れてくれたのだから、頑張って取り返そう、という気持ちになっています。無事故更新中です。
協和には「社員支援プラン」というのがあります。(以下のように)会社から本人に支援金を支給します。結婚10万円、出産30万円、小学校入学時30万円とランドセル、中学校入学時20万円、高校入学時20万円です。現在は大学進学時を検討中です。予期せぬ収入ですので、そのために使ってくれます。家族にとっても本人のモチベーションにとっても効果は絶大です。
協和には従業員持株会がります。従業員が19.17%、 役員(一族以外)3.33%。配当はオーナーの2倍ときめており、1割配当をしています。さらに1割の商品券も贈呈しています。
【対「消費者」】
ランドセルは今、よく売れています。ですが売れるのなら何をやってもいいのでしょうか。9万円、10万円が売れる。でも、それでいいのでしょうか。
協和は末端価格6万円以上では売りません。デパートで6万円以下の値段がついているのはうちだけ。
年金暮らしのお年寄りもいます。真の消費者のためになることは何か。私たちは、2万5000円のランドセルを開発しました。(この値段は流通コストを抑制しないとできないので)ネットでダイレクト販売する形です。(1日アップの④に続く)
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