ET革命が始まる

自動車業界等が血眼になって競争しているリチウム電池。
ET革命とは。

昨日の中日新聞(東京新聞)の社説。

電池が社会を変える 週のはじめに考える
二十世紀末に始まったIT(情報技術)革命。
デジタル化をキーワードに、誰もがネットでつながる世界が生まれ、日々の生活も仕事も変わりました。

 新年のテレビから「お正月を写そう」という声が流れてきました。
富士フイルムのCMです。
始まったのは一九六六年。「年年歳歳 花相似たり/歳歳年年 人同じからず」という漢詩があります。
人の世の変わりやすいのに比べ、自然は変わらないことを表しています。
振り袖姿の樹木希林さんは変わりませんが、カメラはスマホになり、フィルムは消えました。

ET革命が始まる
 カラーフィルムの世界総需要は二〇〇〇年がピークでした。
デジタルカメラの登場でフィルムが不要になり、十年後には十分の一以下に激減。
さらに携帯電話で撮って、メールで送る写メで、写真はディスプレーで見ることが多くなりました。

世界が今のように変わったIT革命は、二十世紀末に始まりました。
当初の主役はインターネットやウィンドウズパソコンだったのですが、カメラという一見、関係が薄そうな分野も大きく変えていたのです。

でも、二十年も革命が続くのは変です。新たな革命が今、始まろうとしています。

旭化成の名誉フェローで、名城大学教授の吉野彰さんは「これからはET革命だ」と言います。
Eはエネルギーや環境を、Tは技術を表します。

「新しい革命は自動車から始まる。その原動力はリチウムイオン電池」と予言します。

 この電池はノーベル賞候補の業績とみなされ、実用化に貢献した日本の研究者が注目されています。
吉野さんもその一人で、一九八一年に研究を始めたパイオニアです。
普及のきっかけは、携帯電話がアナログ式から第二世代のデジタル式に変わったことでした。
従来のアルカリ電池などに比べて高い電圧を出せることが決め手でした。IT革命の基盤技術となりました。

「昨年、リチウムイオン電池の用途は電気自動車(EV)向けがIT機器向けを上回ったようだ」と吉野さんは話します。

 同電池関連の特許出願は九五年ごろから急増し、二〇〇三年から低下しました。
それが〇七年から再び、増えています。それはEV向けが増加したようです。
新技術が製品となって現れる時期がそろそろ来るのです。

自宅が発電所になる
 ET革命で何が起きるのか。吉野さんは過激とも思える予想をしています。
 EVは市場規模が大きいので社会を変革する。人工知能(AI)によって、完全自動運転ができれば、安全な交通手段だけではなく、利用者は移動中の時間を有効利用できる。
都市では広域駐車スペースの有効活用を図ることができる。
車が巨大蓄電システムの役割を果たす。日々の時間の使い方から電力システムまで影響する。

 「信じられないかもしれないが、携帯電話が出てきたとき、今のような世界を想像していましたか」と吉野さんは問い掛けます。
 確かに、デジタル化はカメラだけではありませんでした。音楽はレコードがCDへ。最近はお金も電子マネーが普及しています。
 東京電力関係者らが執筆した「エネルギー産業の2050年」(日本経済新聞社刊)にも、新しい時代の予想が紹介され、業界関係者に衝撃を与えています。

 未来の家庭を「わが家は発電所であり蓄電所でもある。
屋根を太陽光パネルに貸す…」と描写して「かつて電気はためられないもの、と言われた。
でも今は日本で数千万台という電気自動車が蓄電の役割を担い、電力供給は一気に安定化した」と予想するのです。

 新しい技術が普及するスピードは、どんどん速くなっています。
IT革命は二十年程度でした。
ET革命がすでに始まっているのなら、五〇年を待たなくても社会は変わっているでしょう。

飛躍のチャンスに
 最初に紹介した富士フイルムですが、〇〇年度の売り上げは一兆四千四百億円。売り上げの六割は写真関連事業が占めていました。
一六年度は二兆三千二百億円と大幅増収です。

 写真関連で蓄積した技術を生かして新分野に進出したのです。
たとえば、液晶パネルの部材として製品化した「タックフィルム」は、写真フィルムに使われる支持体を高機能化させたものでした。
現在、世界シェアの約七割を占めています。プリントの色あせを防ぐ抗酸化技術は肌の老化防止につながり、化粧品に応用されました。
ET革命を恐れる必要はないようです。技術を磨くことで、飛躍の機会にすることも可能でしょう。

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