ウインテック株式会社
日本でいちばん大切にしたい会社大賞 受賞おめでとうございます。
審査委員会特別賞
1)企業の概要
(1)企業名 ウインテック株式会社
(2)所在地 愛媛県東温市
(3)主事業 各種機械の設計・製造
(4)代表者 駄場元定生社長
(5)設立年 1981年
(6)社員数 20名
2)主な受賞理由
(1)社員の希望と生活を重視した雇用をしているため正社員比率は95%
(2)社員を大切にする経営だけでなく、社外社員である協力企業30社と
「WIN・WIN会」を組織し、対等のパートナーとして相互研鑽している
(3)売上高の10~15%を未来経営として投下している
(4)障がい者施設と契約し、電子部品組み立ての仕事を安定して発注している
2014年のヒトカラエヒメのネットら拾った。
メチャクチャ参考になる。
苦労の末に辿り着いた境地を冊子にまとめ、社員全員と共有
ウインテック株式会社
世界一のものづくりのために必要なモノは、“心構え”
「当社は世界一の機械作りを目指しています。世界一のものを作るには、世界一の意識を持たなければいけない。
そのために必要な仕事の心得、仕事への向き合い方などを記した“本当の仕事”という冊子を従業員全員に配布しています。
すべて私自信の言葉で書いたものです。
どこからか借りてきた言葉ではなく、私自身から出た言葉だからこそ、伝わるものがあると思っています。」
代表取締役
駄場元 定生1948年生まれ。66歳。
1980年1月、31歳で独立し大興電業として創業。1981年3月、大興電業株式会社となる。
1990年、ウインテック株式会社に社名変更。..
課題設立から15年は利益が上がらず、打開策を模索
改善策
採用・専攻していた学部や学科にとらわれず、意欲とセンスのある人材を採用。
・少数精鋭を貫き、過剰な雇用をしない。 育成・社長自らの言葉で綴る冊子「本当の仕事」の配布。
・世界一を目指すため、一流ホテル宿泊の研修旅行を実施。終了後、レポートを作成し全員でディスカッションを行う。
・社長も社員と同じ現場で仕事。
一人ひとりの仕事をきちんと評価しながら、コミュニケーションを図る。 定着・試行錯誤を良しとし、新しい提案、チャレンジをする社員を高く評価。
・社員が家族の尊敬を得られるよう、ボーナスの現金支給。
・社員、協力会社に誇りを持ってもらうため、テレビCMを放映。
成果高速サニタリー製品製造ラインにおける蛇行修正機で国内シェア80%超。
CEマーク取得によるヨーロッパへの販路拡大。第4回日本ものづくり大賞優秀賞、四国でいちばん大切にしたい会社大賞受賞。
企業ストーリー
向上しない業績。利益を上げるために悪循環にも
愛媛県東温市にあるウインテック株式会社。
オートメーション化によるコストカット、生産能力アップを目的とし、生産機械の開発提案、設計、施工、サポートまでトータルで行っている会社だ。
その高い技術力には定評があり、2011年にはものづくり日本大賞優秀賞を受賞。取引企業には超大手企業が名を連ね、製品の中にはアメリカ航空宇宙局(NASA)で使用されているものまである。
高い技術力の一方で同社は営業部門を持たない。
「弊社の機械が、お客様の工場で故障することなく毎日、何十年と働き続けてくれる。
それが一番の営業マンです」と代表取締役である駄場元社長。
「社内をこだわりのある工学系職人で溢れさせたい」とも言う、異能の技術者集団はどのようにして形成されていったのか—。
一技術者として、会社勤めをしていた駄場元社長が独立、創業したのは31歳の時。
「立派なビジョンとか、何も無かった。ただ家族を養うためですよ」と当時を振り返る。
理想を追い求めていたわけではない。
創業からの十数年間は、ただ現実との戦いだった。
「会社は生き物ですから、いつ死んだって不思議じゃない。生き延びるためには利益を出し続けなければいけない」。
だが、実際にはなかなか利益は上がらなかった。なんとかして利益を出そうと、安い部品を使ってみたりもした。
当然、故障も出る。クレームも入る。「一体どうすれば儲けが出るんだ?」悪循環の中で、駄場元社長は悩み続けた。
社員が成すべき“本当の仕事”を、自らの言葉で伝える
現在ウインテック社では“お客様第一主義”をポリシーの1つとして掲げている。
「まあ、それは当たり前のことだから」と駄場元社長は笑うが、そこに至るまでの道のりは長かった。
自分が利益を出したいなら、まずお客様に儲けてもらわなければ話にならない。
そう思い至ったのは創業から15年ほど経った頃。
お客様に利益をもたらし、信頼を得るため“一流のものを作る”ことを決心した。
プロとして世界一の機械を作る、そのためには何が必要か?
仕事に対する心構えは?そもそも技術のプロとは?次々と浮かんでくる言葉を書きとめていった。
それを冊子にまとめ“本当の仕事”と題名をつけ、全社員に配布した。
「理念なんて大げさなつもりは無かったです。社員に伝えたいことをまとめただけ。
ただ、格言とか本から借りてきた言葉ではなくて、本当に自分の中から出た言葉だけで書いてある。そこが他とは違うかなと思います」。
2014年、同社は“四国でいちばん大切にしたい会社大賞 中小企業基盤整備機構四国本部長賞”を受賞した。
その審査の際、来社した審査員団に理念の提示を求められた駄場元社長は「理念なんてありません。ただ、社員に伝えたいことをまとめた冊子ならあります」と、“本当の仕事”を手渡した。
一読した審査員団は「これこそが、理念です」と大いに納得して帰ったという。
その内容は「あくまで内輪向けのものだから」という駄場元社長の意向により詳らかにはできない。
しかし、社員、協力会社が団結し、同じベクトルで仕事を進めるため大いに役だっていることは、同社の実績が証明している。
一流ホテルのサービスに触れ、お客様視点、経営感覚を養成
お客様のために、一流の技術で世界一の機械を作る。
ウインテック社最大の目標だ。
一流の機械を作るには、一流のもの、一流の心構えを知らなければならない、という駄場元社長。
その方針の元、年1回行われる全従業員参加の研修旅行では、帝国ホテルなどの一流ホテルに宿泊し、一流の食事をする。
もちろん、ただ泊り楽しむだけではない。
旅行後には、自分があそこの責任者、社長であればどういったサービス、工夫をするか?をテーマに、レポートを作成させ、全員参加でディスカッションを行う。
中には現地で取材活動をする社員もいる。
「社員が経営の意識を持ったり、お客さん視点を養うことができる。
ずっとやっていると、口数の少ない社員も喋るようになって、風通しのよい環境も醸成できる。
いいことずくめですよ。」また道中のバスでは高額商品の当たるビンゴゲームも開催、社員を喜ばせることも忘れない。
「こうして利益を社員に還元することで、モチベーションアップに繋がる。社員と協力会社のモチベーションを高めることが社長の仕事ですから」。
また駄場元社長は、普段の業務もなるべく社員と同じフロアでこなすようにしている。「例えば電話対応が良かったとか、いいところを見つけたらすぐに“みんな○○の真似しろ”という風に褒める。
褒められた当人は嬉しいようです」。もっとも、怒る時は怒る。「ガツンと雷落としてね、それで終わり。でも、それも私流のコミュニケーションなんです」。こうした小さな積み重ねも、同社の戦意高揚に繋がっている。
無借金経営を15年継続。利益を社員、協力会社へ分配しモチベーションアップ
「社員のやる気、協力会社のバックアップがあってこそ、一流のものが作れる。
そのために社員、協力会社のモチベーションを上げていくのが社長の仕事」と語る駄場元社長。
全社員を連れての研修旅行や、協力会社との勉強会、交流会など、利益は惜しみなく還元していく。
「どうすればモチベーションが上がるのか。相手の立場になって考えれば、簡単なことでしょう?」
口で言うのは易しいが、実行するのは難しい。それができる駄場元社長だからこそ、ウインテックは飛躍している。
ベテラン社員の技術力は、若手にも受け継がれている
高い技術力・開発力を評価され、「ものづくり日本大賞」を受賞
本社は、周辺環境の良い郊外に立地
会社はこう変わった
「自分の会社の為に社員がいるんじゃない。それが分かってきた。」
創業から最初の15年、経営が苦しかった時代を振り返り、駄場元社長は「それは自分が儲けようとして必死だったから。
自分が儲けるためにお客さんがいるんじゃない、自分の会社の為に社員がいるんじゃない、自分の会社を支えるため協力会社があるんじゃない。
それが分かってきた」と語る。
お客様を第一に、協力会社、社員を喜ばせ…と、少しづつ考えを改めてきたが、それは偶然にも“四国でいちばん大切にしたい会社大賞”の審査基準と合致していたという。
「生き残るため、自然発生的にやってきたこと」と駄場元社長は謙遜するが、営業部門を持たない技術企業にとって、ウインテック社の在り方は一つの指標となるはずだ。
今すぐできるはじめの一歩!
1.理念を掲げるだけなく、自分の言葉に置き換えて伝えてみましょう。
2.出身学部にとらわれず、意欲のある人材を採用してみましょう。
3.社員の良いところは、その場で積極的に褒めモチベーションアップに繋げましょう。
企業データ
企業名:ウインテック株式会社
住 所:愛媛県東温市松瀬川1022
設 立:1981年3月
従業員数:23名(2014年10月現在)
http://www.wintec-japan.jp
【事業内容】生産ラインにおける自動化のトータルプロデュース
※本記事内容、データにつきましては、取材時(2014年10月)の情報です。
写真は同社のHPとヒトカラエヒメから拾った。
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