特殊衣料【No7いい会社視察2017/9/11】

今回は2017年3月の「第7回日本でいちばん大切にしたい会社大賞」にて審査委員会特別賞を受賞された『株式会社特殊衣料』さんをご紹介致します。

株式会社特殊衣料は北海道西区発寒にあり、2017年9月に坂本先生を除くゼミ生・研究室10数名のメンバーで訪問させていただきました。

創業者の田中弘氏は現池田啓子社長の叔父にあたります。元北海道庁職員でしたが、社会福祉法人出向の経験から同庁を早期退職し、1979年に特殊衣料を創業。病院や福祉施設向けのリネンサプライ事業をスタートしています。

池田社長は1984年の工場移転を機に叔父に手伝うよう頼まれ、週1回経理のパートアルバイトから働き始めました。そして事業の魅力を感じて深くかかわるようになり1996年2代目の社長に就任。現在の主な事業は創業時のリネンサプライ事業に加えて、顧客ニーズに応える形で清掃事業、福祉用具の開発・販売事業分野へ広がっています。

また2004年に社会福祉法人ともに福祉会の認可を受けます。今では定員40名の就労移行支援事業として最近では年平均7名が就職。半年定着95%、3年定着85%を誇っています。そして特殊衣料ではなく一般企業に就職しています。

株式会社特殊衣料 http://www.tomoni.co.jp/

社会福祉法人ともに福祉会 http://www.tomoni-f.or.jp/index.html

<雇用について(2017年9月訪問時のデータから)>
・全社員は180名。そのうち女性社員120名。割合は67%です。
・障がい者は知的、身体、精神、発達の方々あわせて27名。障がい者雇用率は単純計算で15%に上ります。
・障がい者雇用のきっかけは1990年に高等支援学校からの実習依頼が契機となり開始。
・障がい者だけでなく引きこもりやニートの若者を5名採用。
・60歳以上は44名(割合は27%)、最高年齢は75歳。

特筆しておきたいこと
① 頭部保護帽アボネットを開発・販売
→2000年に産学連携プロジェクトに参加し、“デザイン性、軽量、洗濯できること”を目指し2002年完成。同社の主力製品となっています。

② 高齢者や片マヒを疑似体験できるセット「まなび体」を開発・販売
→社員研修などで活用されています。装着経験は多方面に良い効果が見込めるでしょう。
③ 冊子『ともにはたらく 知的障がい者と支援者のためのマナー編』を自ら企画・出版
→あるようでなかったもの、いままでなかなか目にしなかったものではないでしょうか。同社のオンラインショップで購入が可能です。
④ 「tomoni art」
→社会福祉法人ともに福祉会の知的障がい者が描く作品ブランドです。
 こちらの写真は2018年の卓上カレンダーです。

オンラインストア https://tomoniweb.thebase.in/
Facebook https://www.facebook.com/tomoniart/

訪問当日はお約束していた予定時間に遅れてしまい、滞在時間が短くなってしまいました。事前に準備をしてくださった先方へ申し訳ない気持ちがありましたが、池田社長はそのような中でも和やかな笑顔で迎えてくださり、当初の予定を臨機応変に対応いただいたときのやさしさに包まれた空気感の記憶や、謙虚でありながらも訪問メンバーからの指摘によってさらに学びたいという姿が今も脳裏にあります。池田社長の元で一緒に働く社員の皆さんは幸せなのだろう、こんな社長の元で一緒に働きたいと素直に感じたひとときでした。

池田社長は、“私は失敗ばかりで、思いばかりが強い”、“課題解決をするとこで新たなチャンスが広がる”、“社員の幸せが会社の発展につながる”とおっしゃっていたことが、そのまま同社の事業展開や歴史から感じ取ることができ、とても自然な経営をされているのだと感じた訪問でした。

***補足***
この投稿では2012/4~2018/3までの6年間法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室で経験した【いい会社視察】・【プロジェクト】・【授業で学んだこと】を中心に、毎週火曜日にお届けしております。少しでもお読みいただく皆さまのお役に立てば嬉しい限りです。個人的な認識をもとにした投稿になりますが、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(桝谷光洋)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です