『あなたの中のリーダーへ』【No8いい書籍紹介 著者;西水美恵子(元世界銀行副総裁)】
今回は『人を大切にする経営学会』の顧問であり、元世界銀行副総裁の西水美恵子氏の本をご紹介させていただきます。この本は2012年5月に坂本研究室所属のゼミ生必読書になった本です。
この本はあるネット新聞に2008年~2012年までに掲載された西水美恵子氏のコラムに加筆修正をしてまとめられたものです。著者が世界銀行で経験した数々の仕事における実話や、世界銀行を離れた後のことについて書かれていて、部下やメンバーのハートに火をつけるためのさまざまな取り組みや過程を通じて、本物の組織をつくることを学ぶことができます。
特に印象に残ったコラムは、『決して忘れずに!』、『会社の命にかかわること』、『おねしょの教え』、『切り絵のビジョン』です。
中でも『おねしょの教え』は女性社員とそのお子さんとの出来事を通して、組織と社員(個人)のかかわり方を象徴する実例として強く記憶に残りました。見事に仕事とプライベートの価値観を共有させ、頭とハートが直結することで大きなモチベーションとなって幸せを獲得していく事例です。結果として組織が活性化し成果を上げていく流れが生まれます。
現代では仕事とプライベートを切り離す生き方・風潮があり、個人と組織とのかかわりが希薄になっています。全般的には多くの場面で個人が周囲とのかかわりを深くしない・できないという問題を抱えていますので、この本は経営者やリーダーが働き方・働かせ方やエンゲージメントについて考える良い本となるでしょう。
この『おねしょの教え』ではとても感銘を受けた言葉があります。“毎朝出勤が待ちきれないほど生き生きと楽しく働ける職場と帰宅や週末が待ちきれないほど幸せな家庭”という言葉です。とても印象的です。
現代では、月曜の出勤の際に気が重くなる人や行きたくないと感じる人が多いと言いますが、この言葉のような人や職場を増やしていくことが、『人を大切にする経営学会』の使命であると感じます。
そのほか印象的だった言葉を3つ挙げてみます。立場や状況によって感じ方は様々だと思いますが、ご参考になればと思います。
・人間の耳は選り好みをするし、自分に都合よく聞き取るようにもできている。だから、何事も繰り返すこと。壊れたレコードのようにね。自分自身に聞き飽きて、うんざり諦めかける頃、やっと通じるものだ。
・人間、感動なしでは、本気で動かない。本気で動かぬ人間の組織に、ビジョンを追求し続ける変革は、有り得ない。
・2011年の元旦に、「日本でいちばん大切にしたい会社」が民間企業の過半数になった夢を見た。この夢を正夢にしたい。
是非書店で本書を手に取ってみて欲しいです。
***補足***
この投稿では2012/4~2018/3までの6年間法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室で経験した【いい会社視察】・【プロジェクト】・【授業で学んだこと】を中心に、毎週火曜日にお届けしております。少しでもお読みいただく皆さまのお役に立てば嬉しい限りです。個人的な認識をもとにした投稿になりますが、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(桝谷光洋)
コメントを残す