夏合宿を終えて
北陸の夏合宿が終わりました。合宿に参加された皆さんには、8月22日から24日の連日36度越えの猛暑の中、9つの会社を訪問し大変ご苦労様でした。
各会社とも坂本先生と深い関係のある会社ばかりでした。それぞれの企業が、結果として得られた利益をステークホルダーの皆さんに還元してまさに「人を大切にする経営」をしておられます。その中心にいらっしゃる経営者の皆さんの聲咳に触れ、経営を目の当たりにさせていただきました。
各企業様には、お忙しい中お時間をいただき、皆さんが我々の訪問を快く受け入れてくださいましたこと心より感謝しています。こういった機会を得られたのは、坂本先生と経営者の皆さんとの深いお付き合いの故と感じました。合宿といった場を作っていただきました坂本先生に改めて深く感謝いたします。
合宿では、石川県と福井県の9つの優良企業を訪問させていただきました。
8月22日 (株)ルバンシュ様、根上工業(株)様、(株)ブドウの木様
8月23日 会宝産業(株)様、前川メッキ(株)様、前田工繊(株)様
8月24日 ヨシダ工業(株)様、(株)ユウシ様、(株)明光商会様
業種は様々ですが、共通したことがあるように思いました。絞り込んだドメインでオンリーワンになり、コストで競争せずに価値で競争し、高い付加価値を上げている事。顧客や市場の声を常に聴き、新しい製品開発・サービス開発に挑戦し、着実に業績を伸ばし成長している事。従業員の皆さんの応対からすぐに気づかされた、人の立場で考える優しい心と笑顔がある事です。こういった「人を大切にする経営」は、一朝一夕 でできたものではありません。真似してすぐできるようなものでもありません。経営理念にあらわされる創業者や経営者の皆様の夢を実現したいという強い気持ちを基にして、外部環境の変化に的確に対応しながら、夢を実現させるために戦略を考え、戦術を展開するといった常日頃の努力の結果がこれらを実現しているのだと各社の経営者の皆様にお話を伺って思いました。
すべて素晴らしい会社ですが、私が特に関心を持ったのは(株)ヨシダ工業様です。長く鯖江のメガネのヒンジを生産している会社ですが、中国の低価格製品に市場を奪われ最盛期の半分に売上が落ちた後、現在は医療機器の部品や楽器の部品で最盛期の売上以上 にV字回復しています。たまたま、医療機器や楽器の部品を手掛けていた縁があったからだという見方もあるかもしれませんが、私にはすべて「因果応報」に見えます。社長は、ヒンジ売上の最盛期に医療機器部品の開発や、楽器部品の開発を手掛けられています。普通の会社は、業績が好調だとその市場に特化してさらに生産性を上げシェアを伸ばし、売上を伸ばそうとします。つまり、高い効率を目指す経営に向かいがちです。しかし、ヨシダ工業様はロボットの導入も早く効率経営を目指されましたが、一方で医療機器や楽器の部品開発を技術的にチャレンジし自社技術力向上のために進まれました。お話の中で「売上としては小さく、手間もかかり儲からないが、技術力を上げるには役立った。」とお話しされていたのが耳に残っています。医療機器や楽器の部品に必要な徹底した5Sや品質管理技術、高精度機械加工技術はその時に手に入れられたものと思いました。苦労して得た技術は他社の追随を許しません。言い値で売れる価値をもたらします。常に挑戦し妥協を許さない社長の技術者魂が、結果として高い価値を目指す経営を実現したと思いました。
日本の中小製造業の多くは自動車産業に関わっています。しかし、新聞紙上で毎日報道されているように自動運転、コネクティッド、電動化、シェアリングにより中小製造業の経営環境は激変しようとしています。ヨシダ工業様の取組はまさにその大きな荒波を乗り越えるモデルの一つだと感じました。
ヨシダ工業様と一緒に記念撮影 2018.8.24
人を大切にする経営人財塾 合宿委員会 早川 剛
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