未来工業株式会社【番外No26基調講演より2018/9/15】
未来工業株式会社【番外No26基調講演より2018/9/15】
今回は2018年9月15日に慶応義塾大学日吉キャンパスで開催された“人を大切にする経営学会 第5回 全国大会”の基調講演から、未来工業株式会社山田雅裕代表取締役の講演から印象的だったお話をご紹介させていただきます。
●概要
所在 岐阜県安八郡
業種 電気設備資材、給排水設備およびガス設備資材の製造販売
創立 昭和40年8月
資本金 70億6,786万円
連結売上高 351億円(平成29年度)
連結従業員 1,191名(平成30年3月20日現在)
代表者 取締役社長 山田 雅裕
メディアに取り上げられることが多い未来工業。
私が持っている創業者;山田昭男氏の書籍の表紙には、“残業禁止!”、“ホウレンソウ禁止!”、“年間休日140日+有休40日!”と謳われています。
しかし、今回の基調講演では、多くはメディアによって“書きたい未来工業”と過去から変化している“現在の未来工業”に少なからず解離があることがわかりました。
具体的なこととして
✓週休3日 → 2日(施行後しばらくして社員の悪評から廃止)
✓年間休日140日 → 135日+アルファ(飛び石連休がなくなっているから減少)
✓残業なし → 受注多い時は率先して残業をしている(太陽光パネルブームなど)
✓ホウレンソウ禁止 → 意識してホウレンソウ禁止を進めていない(日本で初めてホウレンソウを提唱した経営者の会社はすでに倒産しており、そもそも“相談と連絡”と“相談”は内容が異なると考えている)
私たちは古い情報を固定観念のように記憶し続けていることは正しいとは言えず、意識の中では常にその情報は過去のその時点でのものだと認識しておくこと、そして常に最新の状況を見ること・見ようとすることが重要だと教えてくれました。
2,30年前、個人的に読んだ雑誌のインタビュー記事で、ローリングストーンズのMick Jaggerが、“新しいアルバムを出すけどコンサートではファンは古い曲を聞きたがる。つまりロックファンは古いんじゃないか。”という内容を語っていたことを思い出しまいした。
発信する側と受け取る側、立場や意識の違い、歳月の流れを感じ、劇団をしていた山田昭男氏を中心とした創業メンバーが育てた同社に思いを馳せながら、山田現社長のお話を伺っていました。
とはいえ、週休2日でGWに約10日間、夏季休暇約10日間、年末年始20日程度の休暇があり、年功序列で定年は70歳、様々な福利厚生は社員が家庭を大切にしながら安心して働くことができる職場であることは間違いないでしょう。
●業績不振の他社を子会社化した時の出来事
特に間接部門の人は自分の仕事がブラックボックス化されやすいというお話がありました。例えば新卒で入社した人は、他社を知らないことで自分が行っている様々な業務が実際に役立っているのかさえ理解していない場合があります。そのため、自分が作成した資料は必要なのか?誰が見ているのか?という状況になったと言います。
また残業することで自分の存在を示す、高めようとする人がいる、というお話がありました。
同社との合併の際、ある人の仕事の多くを誰も引き継ぐ必要がなかったということでした。
残業しないという結果以上に、無駄な業務を抽出してなくすという行為があってこそですね。
同社は製造メーカーです。24時間、工場を稼働させていますので現場では3直(3交代)で働いています。その環境では、“常に考える”というモットーのもと、効率を上げる、社員の改善意識・提案力を最大化する、人の管理をせず自主性を引き出す、などの日々の積み重ねが大きな成果をもたらしたのではないでしょうか。
その結果として私たちの目につきやすい待遇や福利厚生があります。
もちろんほぼ毎年10%以上の利益が出ているのです。
劇団を主宰していた創業者;昭男氏が作り上げた未来工業。4代目の社長となった創業家出身の雅裕氏は、これからも創業の精神を守って、同社を数倍に成長させることができると語っていたことが印象的でした。
***補足***
この投稿では2012/4~2018/3までの6年間法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室で経験した【いい会社視察】・【プロジェクト】・【授業で学んだこと】を中心に、毎週火曜日にお届けしております。個人的な認識をもとにした投稿になりますので、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(桝谷光洋)
コメントを残す