就業規則の活用方法(経営理念)
就業規則の活用方法(経営理念)
就業規則をどのように活用していますか。
厚労省はモデル就業規則を出していますが、
あまりにも規則が多すぎて活用できない場面も多く見られます。
▼就業規則はルール?契約?
就業規則は、多数の労働力を組織的かつ効率的に利用し、
企業の合理的運営を実現するため、労働者を縛るための規則
という理解が通常でしょうか。
しかし、就業規則とは、「規則」という名称ですが、
実際には経営者と社員との契約という意味を持たせることができます。
労働契約では細かくて契約書には入れられない
合意内容を入れることができます。
つまり、就業規則とは、社員の守らなければならないルール
であるとともに、経営者の社員に対する約束事にもなるのです。
このような就業規則の活用に仕方については、弁護士の中でも、
また社労士の方でも色々な考え方があり、
中にはシンプルイズベストという方もいます。
したがって、経営者と社員との契約、という考え方のみが
正解ということではありません。
ちなみに就業規則に詳しい岩嵜信憲弁護士は、契約だと言っています。
▼契約だとすれば・・・
よく、経営者の方にお聞きすると、経営理念は経営理念、
また社員の心構えはクレド等というように、
それぞれ別々にされている方がほとんどだと思います。
その中で、就業規則はこれらとは離れて作っている
という企業が多いと思います。
しかし、経営理念とは経営する上での判断基準の元となるもの、
つまり社員が就労する上でも、その判断基準の元となるものです。
とするならば、就業規則の元も「経営理念」であっていい
のではないでしょうか。
就業規則の第1条は、経営理念、経営指針であってもいいと思います。
▼事業承継にも一定の効果が期待できる?
事業を承継する場合、承継者が見つからず、
やむなくM&Aによる場合もあるかと思います。その際に、
社風をそのまま残したいということを悩まれるかもしれません。
もちろん、社風は、その経営をする人及びその会社に関わる社員の
人柄や関係性によって作られるものですので、
経営者が変われば変化してしまうものです。
ただ、いい面は、残したい!という時には、就業規則化しておくことで
一定の歯止めをかけることができるのではないかと思います。
就業規則の変更について、必ず労使の合意が必要だと定めておき、
風土を反映した就業規則を作ることで一定の役割を担えると思うのです。
これは、かなりハードルが高いですが、こんな就業規則ができれば、
今よりもっといい就業規則になるのではないかと思うのです。
(学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)
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