価格競争に巻き込まれた時の協力会社との関係

▼価格競争に巻き込まれた時の協力会社との関係

価格競争に巻き込まれないよう工夫を凝らしていても、
時として価格競争に巻き込まれてしまうことがあります。
その場合は、コストを削減するか、
その事業をやめるかの選択に迫られます。
協力会社に部品を提供してもらっている場合には、
その部品のコスト削減もお願いすることになります。
こんな時、下請法は、いわゆる「買いたたき」を禁じています
(下請法第4条5号)。下請法の「買いたたき」とは
「下請事業者の給付の内容と同種又は類似の
内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い
下請代金の額を不当に定めること」とされています。
また「通常支払われる対価」とは、「当該給付と同種又は
類似の給付について当該下請事業者に属する
取引地域において一般に支払われる対価」だと言われています。
また、そのような通常の対価を把握できない場合は、
これまでの単価が「通常の対価」となるとされています。

▼どうすればいいか?
これまでの単価が「通常の対価」となってしまうと
法律上は価格の引き下げができないということになります。
それではその事業から撤退しなければならないのか?
ここで重要なことは、「買いたたき」になるかどうかは、
こちらが協力会社との間で十分に議論を尽くした上で
決定されたかが重要な要素となります。

この点について、松下幸之助氏が示唆に富む指摘をしています。
(価格の値引きの)
「場合に、ただ値引きを要求するだけではいけない。
値段を下げても、なおかつ先方の経営が成り立つ、
いいかえれば、先方の適正利潤が確保されるような
配慮が必要なのである。」
「それでもし先方ができないという場合には、
その工場を見せてもらうなどして一緒に工程などの
改善をはかり、値下げしてもなお十分な適正利潤を
確保してもらえるような道を考えるようにした。」
(「実践経営哲学」松下幸之助著、PHP文庫)

これほどまでに共存共栄を考え、その結果工夫をして
従前の価格よりも下げてもなお利潤がでるように配慮すれば、
それは「買いたたき」とは言われません。

(学会 法務部会 常任理事 弁護士 山田勝彦)

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