いい会社の社風を守る

いい会社の社風を守る

▼事業承継の困難性
日本の中小企業の事業承継が難しいというのは、
今や当たり前の話になってきました。社会の動きがどんどん加速し、
3年後の世の中すらどうなっているか予測困難な時代となり、
同族会社で親族に承継したり、親族以外の社員に引き継ぐ場合でも
人選が難しいと度々お聞きします。
とすると、M&Aということになりますが、その場合、売却相手が、
当社の風土を守ってくれる約束はありません。

▼風土を守る
人を大切にしている会社にとって、将来が未知数のM&Aはとても
しづらいことだと思います。私どもが就業規則に経営理念を入れ、
それに基づいた就業規則に編纂し直すことを提唱しているのは、
他社が入ってきても風土を守る一助になればという意味もあります。
しかし社風を守るために一番大切なことは、社員自身の自律性と
主体性ではないでしょうか。そもそも社風を作るのは経営理念でも
ビジョンでもなく、それを受け止めた社員自身の日々の
業務によるのだと思います。もっとも、社員自身の自主性がなく、
上長の指示に従っていればよいというような受け身の会社では、
上長が変われば、たちまち社員の業務も変わってしまい
社風も違うものとなってしまうでしょう。
上長が変わっても影響を受けることなく、これまでと同じように
業務を実践し、社風を変えないようにするためには、
やはり、社員の自律性と主体的が必要であり、
そう考えると、人を大切にしている会社が、社員教育を重視し、
その中でも社員の自律性と主体性を育てることに
力を注いでいることが頷けます。
いい会社のいい社風を守るには、社員教育を重視し、
自律的、主体的な社員を育て、その社員に会社の業務を
任せていくことが大切ではないでしょうか。

(学会 法務部会 常務理事 弁護士山田勝彦)

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