太陽の家(中村裕先生の勇気)
太陽の家(中村裕先生の勇気)
▼太陽の家への訪問
今年の9月26日、坂本先生が関わる経営者団体の視察で大分にある
太陽の家を訪問させて頂いた。
太陽の家を創設した中村裕先生のビジョンと行動力、
特に障がい者にスポーツを通じて社会との関わりをつくり、
そして働く場を提供すべく奔走し、大手企業との間でいくつもの
障がい者の働く場を作っていったことに深く感動しました。
特に私は法律家ですので、法的な観点からも、中村裕先生は強い意志と
勇気をもって、この事業を作っていったのだと思いました。
▼リハビリとして障がい者スポーツを始めることの難しさ
中村裕先生は、イギリスのストークマンデビル国立脊髄損傷センターの
研修の際に、そこでリハビリをしている障がい者の方々が
生き生きとスポーツをしている姿を見て、衝撃を受け、
日本の障がい者にも楽しくスポーツを体験して欲しいと考え、
日本に戻って自らの病院でリハビリとしてスポーツを導入した際には、
周りの人や障がい者の親族等から強く反対されたとのことです。
しかし反対だけが問題ではありません。これを法律的に見ると、
リハビリは、患者さんの障がいの改善を図る目的で行われるものであって、
医師と患者さんは、そのようなリハビリを受ける診療契約を
結んでいることになります。もし、そのリハビリの過程で、
障がいを改善するのではなく、スポーツ等の影響で怪我をしたり、
障がいが悪化すれば、債務不履行責任といって、
損害賠償の責任が生じてしまいます。当時の法律でもそのような
責任が生じる危険がありました。
それでも、中村裕先生はそのような危険を乗り越えて
スポーツによるリハビリを実践していきました。
▼法律は無色
法律は無色です。色を付けるのは世間における法律の運用です。
もし、障がい者の方がこの当時、スポーツによるリハビリをしていて
怪我をしてしまった時に、その方や親族の方が損害賠償の
請求をしていたら、どうなっていたでしょうか。
お聴きした限りではそのようなことはなかったようです。
法律は、世の中の運用次第で、良法にもなり悪法にもなります。
私たち弁護士は、法律の運用が、悪法、つまり信念をもって
人を大切にする経営者の経営を妨げるようなことにならないよう
中村裕先生の勇気を学んで、経営者をサポートしていけたらと
思っております。
(学会 法務部会 常務理事 弁護士山田勝彦)
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