学際的なチームが、なぜ今求められるのか?

最近、新しい事業をはじめたり、課題を解決したりするには、学際的なチームで取り組むことが効果的だといわれています。ビジネスの現場で使用される学際という言葉は、英語での「interdisciplinary」の訳語で、「学問(専門)分野の垣根を超えた」という意味で使用されています。つまり学際的なチームというのは、専門分野の垣根を越えて結成された多様なチームということになります。では、なぜ学際的なチームは優れていると言われているのでしょうか?

「デザイン思考」という言葉をご存じでしょうか?
様々な定語があるのですが、経営や、マーケティングの世界では、デザイナーがデザイン業務で使う思考方法のプロセスを活用して、新規ビジネスや前例のない問題や未知の課題に対して最も相応しい解決を図るための思考法ととらえられています。急速なグローバル化、テクノロジーの進化などによって、市場はVUCA(ブーカ)時代に入ってと言われています。VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)
Ambiguity(曖昧性)から頭文字をとって作られた単語であり、現代のカオス化した経済環境を指す言葉です。デザイン思考が注目されるのは、このように予測が難しい状況に有効だとされているからです。そして、このデザイン思考を推進するために重要な組織で求められているのが、学際的なチームなのです。

学際的なチームでは、アイデアは集合的に生まれます。最終的にはメンバー全員が等しく、自分たちが「デザイン思考」などのメソッドによって導き出した解決策に責任を持ちます。
多様なアイデアや方法論や概念について活発に意見が交換されるので、短期間で高品質な結果がでるといわれています。この学際的なチームは、アプローチや思考の傾向、背景知識などが異なるメンバーで構成されます。メンバーは、専門知識と幅広い基礎知識を兼ね備えて備えている人が理想です。専門性の高い研究や職歴の人だけだと、それぞれの専門分野を主張するので解決策は妥協で生み出されてしまいます。幅広い基礎知識があると、他の視点にも関心を持てるので、専門知識を連携し調和させることができます。

VUCA時代において、日本の組織はなかなか結果を出し切れていないと言われています。縦割りで閉鎖的な組織風土、トップダウン的なヒエラルキーの存在、高度成長期の成功体験による思考の硬直化など、多くの原因によって、環境の変化に対応できていないことが目立ってきました。このような経営上の課題を解決する組織の在り方の一つとして、学際的なチームが、今求められているのです。

参考図書: 「デザインシンキング・プレイブック デジタル化時代のビジネス課題を今すぐ解決する」マイケル・リューリック /パトリック・リンク /ラリー・ライファー 著
今津美樹 訳(翔泳社)

人を大切にする経営学会人財塾一期生/合同会社エドエックス・ラボ 毛利 伸也

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