高松丸亀町商店街【No94いい会社視察2012/9/3】

今回は2012年9月に坂本ゼミの四国合宿先としてご訪問した『高松丸亀町商店街』さんをご紹介致します。この商店街は江戸時代から400年以上の歴史を持ち、高松市(人口42万人)にある商店街です。

JR高松駅から徒歩15分の立地にありながら、2011年には全国から13,000名(うち地方議員4,800名)が視察に訪れたということでしたから、その取り組みには大きな注目が集まっていました。

設置時には日本一の長さを誇ったという
全長470mのアーケード

●概要 https://www.kame3.jp/outline/union.html

組合名   高松丸亀町商店街振興組合

事務所所在地      香川県高松市丸亀町13番地2

設立年月日          昭和24年12月13日(登記)

組合の共同事業   再開発事業、アーケード、カラー舗装、販促事業、お祭り事業、駐車場事業、防犯・交通政策事業、カード事業、IT事業、まちバス事業、環境整備事業、レッツホール事業

街路長470m  年間集客 600万人  店舗数114(組織化率98.2%)

●積極的な取り組み風土と時代の波

1972年には商店街としてはいち早く株式会社を設立し、用地を取得して駐車場事業を開始しています。その収入は今も大きな収益源です。アーケード設置やカラー舗装など大きな出費を伴う施策も積極的に実施しています。

そんな中、時代は大きな変化をむかえます。

岡山県と香川県を結ぶ瀬戸大橋は1988年に全線開通します。またこの頃から商店街の通行量も減少の兆しがありました。それまでは本州と四国を結ぶ海路の拠点だった高松市です。何もしなくても人が来てくれた時代は終わろうとしていました。これからの時代は、人が来たくなる魅力を商店街が持たなければいけないと考えたのです。

高松丸亀町商店街は自ら改革に着手しました。

●丸亀町再開発事業

この事業は、高松丸亀町商店街振興組合が中心となり、地元住民主導型の第3セクター;高松丸亀町まちづくり株式会社が、商店街の生き残りという視点だけではなく、地域に重要なコミュニティとして地域の生活全体をマネジメントしていることに最大の特徴があります。

商店街の再開発は、「人が住み、人が集うまち」です。ショッピングセンターのように回遊しながらゆっくり過ごせる快適で魅力的な空間を目指しました。その考えは最終的に町全体の再開発に繋がります。一体的な開発の中で、全町を7つの街区に分け、段階的に開発をすすめ町の魅力を作り上げていきました。

その際に重要となったことは土地問題です。理想的な町づくりのためには一定の共同化と運営にあるとし、定期借地権を導入して土地の所有権と利用権を分離しました。

さらに“商店街の売上減の理由は消費者が欲しいものが売場にないから”と考えて、テナントミックスの考え方を取り入れ業種が偏ることを避けました。

高松丸亀町商店街振興組合では町の将来を見据えて、このような重要事項を関係者が時間をかけて合意形成していったのです。

事業は1990年(平成2年)に着手。

2006年にA街区をスタートするまでの16年間のうち4年は地権者との調整期間、その後の12年間は法制度(ex市道の上を通る東西の館を渡す民間のブリッジに3年)に時間がかかったと教えてくれました。

A街区の広場に整備されたドーム型の屋根、想像をはるかに超える見事な設備です

2012年にG街区竣工し大型の再開発は完了しています。

自治体は税収増を見込んで市街化区域を日本で初めて廃止したそうです。

ちなみに大手企業が高松市の郊外にオープンした大型ショッピングセンターは出店しても本社決算のため香川県の税収とはなりません。

●再開発ビル内に病院

再開発されたビルには丸亀町病院が新しく開業しています。元香川県出身の医者が東京からUターンしています。検査機器はすべてそろっていて入院設備のない病院です。同じビルの上層マンションの住民が主な患者さんなのです。フロアは商店街の組合が所有し病院へ賃貸しています。

さらに地域としては後方に県立病院があります。県立病院にとっても入院患者をすくなくでき、入院患者にとっても自宅で生活できるために丸亀町病院の存在は地域医療にとって重要であり先進的な事例です。

●最後に

お話を伺った古川理事長は成功の理由を次のように話されました。

 ・本気かどうか

 ・コミュニティを大切にしているか

このプロジェクトを進める道のりは、はるか彼方にかすかに見える光を探す旅のように感じました。古川理事長のように自利ではなく利他、生活する場・地域を守りたいという強い思いが成果をだせるのだと感じました。

***補足***
この投稿では2012/4~2018/3までの6年間法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室で経験した【いい会社視察】・【プロジェクト】・【授業で学んだこと】を中心に、毎週火曜日にお届けしております。個人的な認識をもとにした投稿になりますので、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(人を大切にする経営学会会員;桝谷光洋)

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