社員を大切にすることと働き方の自由
▼「ウーバー・運転手雇用関係」
フランスの最高裁判所が、ウーバーの運転手とシステムを
提供しているアメリカウーバーテクノロジーズとの間に
雇用関係があることを認めたとの記事が令和2年3月6日の
夕刊に出ていました。
ご承知のとおり、ウーバーとは、自家用車をもつ人が
運転手として空いた時間にいわば「個人タクシー」のような
顧客運送サービスを行うことができるというものです。
アメリカウーバーテクノロジーズは、
単にそのアプリを提供しているに過ぎません。
しかし、フランスの最高裁判所は、このウーバー運転手と
会社とに雇用関係があると判断しました。
▼自由な働き方と法律による労働者保護
最近は、ウーバーに限らず、個人がネット上で自分の得意分野を活かし、
個人で業務を行う個人請負業が多くなっています。
しかし、一方で、これは請負契約ではなく、
単なる派遣と同じではないか、という疑問が出ているところです。
個人が自由に働く場を持つこと、起業をすることを
今の政府は奨励していますが、それは見方を変えれば、
請負という名で労働力を買っている、
つまり派遣業法の脱法的な対応(偽装請負)とも見えてきます。
確かにこのような個人事業主には、社会保険はありません。
全て自己責任となります。このような労働の「搾取」をさせないように
派遣法は規制をかけてきましたが、必ずしも今の時代に
合わなくなっているのかもしれません。
▼働く側の自由意志が重要
このように多様化した時代に、社員を大切にする会社はどのように
対応するべきか。表彰された日本で一番大切にしたい会社の中には、
有期雇用者の無期転換を5年待つことなく、
いつでも転換を認める会社があります。
働き手は自由に自分の働き方を選択できることが重要です。
自らフリーランスとして働くのも良し、
会社の社員として働くのも良し。
人を大切にする会社は、このような働き手の選択肢を
多く作って上げることが大事なのだと思います。
(学会 法務研究部会 常務理事 弁護士山田勝彦)
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