働き方改革と就業規則31
男女雇用機会均等の取組
▼「ユニリーバが就活の履歴書から“顔写真”と“性別”の排除を発表」
2020年3月13日、ユニリーバ・ジャパンは、2020年度採用選考で、
顔写真の提出や性別の申告を不要としたそうです。
同社は、これまで性別情報として「男性・女性・答えたくない」から
選択させるなどジェンダーに配慮した取組をしてきたそうです。
しかし、「答えたくない」という選択はすることは勇気のいることで、
配慮の仕方として不十分と考えたのかもしれません。
履歴書には性別の申告もなく、写真もなく、氏名についても姓のみで、
名前は記載しないようにしたそうです。
▼男女雇用機会均等法
性に対する差別的取扱をしないことは、
労働基準法などの法律とは別の
「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」
で規定されています。この法律が制定された1985(昭和60)年の時は、
法律は女性に対する差別を禁止することで、
男女の均等な取り扱いをめざしていました。
しかし、1997(平成9)年の改正で、女性のみを優遇する措置は
原則禁止となり、2006(平成18)年の改正では、
男女ともの平等であることが明記されました。
もっとも、未だに女性に対しては、婚姻、妊娠、出産等で差別を
受けることがあることから、これらの差別を
禁止することは男女社員ではなく、女性社員の差別禁止という
趣旨で規定は残っています。
特に妊娠、出産に関して女性に対して配慮することは、
合理的な配慮として当然のことだと思います。
▼採用の機会均等
最近は性同一性障害などの方々のカミングアウトもあり、
社会上、男・女の概念自体も意味をなさない時代になってきました。
ユニリーバ・ジャパンの取組は、今の時代、
当たり前のことだと思いますが、現実にはニュースになるくらい
特別なことなのかもしれません。
(学会 法務研究部会 常務理事 弁護士山田勝彦)
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