働き方改革と就業規31
働き方改革と就業規31
▼「退職金給付非正規にも 主要118社・検討6割」
2020年3月31日、日経新聞朝刊1面の記事です。
調査では、契約社員やパートなど非精勤社員にも
退職一時金を支払ったり、企業年金制度を用意したりする企業は
27%だったとあります。一方で記事には、
「同一労働同一賃金の趣旨は理解しているが、
長期にわたる勤労への功労の側面に沿うのかは疑問」
という声があったと記載されていました。
▼契約社員やパートにも退職金を!
上記のコメントを出したのは、某大手飲料水メーカーです。
まず、契約社員やパート社員でも比較的長い年月働く人はいる。
近年の法改正により、5年以上働けば、有期社員は無期社員に
転換できるのであり、それらの無期転換社員は
正規社員であるという整理をしているのであれば、
上記コメントは特に異論はないといえます。
もっとも、無期転換するか否かは社員の意思によるので、
有期社員が無期転換せず、長期間働くことはありえます。
そもそも退職金制度の建付けとして、非正規社員の退職金も
一定程度就労期間に連動させれば、「長期にわたる勤労への功労」
といえるはずです。このように考えると、わざわざ社名まで出して
上記コメントをする会社の感性に疑問を抱かざるを得ません。
同一労働同一賃金の原則といっても、正社員と同じ基準で
非正規社員の退職金の支払いをする必要はありません。
正規と非正規との間には、その任務、責任等で大きな違いがあれば、
それを反映して制度設計をすればよいだけです。
▼現実は厳しい
退職給付制度には、退職一時金、
確定拠出年金(DB又はDC)がありますが、
中小企業では、退職給付制度自体がない会社が約20%強、
退職年金制度がない会社は80%程度であるとされています。
中小企業においては、金額の多寡はともかく、
退職給付制度自体の充実の方が先決事項かもしれません。
(学会 法務研究部会 常務理事 弁護士山田勝彦)
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