「思うは招く」~植松電機社長の座右の銘~

思うは招く。株式会社植松電機の代表取締役社長 植松 努 氏の座右の銘です。

植松電機は創立1962年、従業員20名、北海道赤平市にある産業廃棄物から金属を選別するリサイクル用マグネットの開発・販売を主事業とする会社ですが、2004年から北海道大学との共同研究で小型ロケットの打ち上げに取り組み、今やJAXA(宇宙航空研究開発機構)とも共同して毎月のようにロケットの打ち上げ実験をする等、ロケット開発の最先端技術を有する企業です。

植松氏は幼い頃から将来はロケットや飛行機を作りたいと思い、学校の勉強はそっちのけでロケットや飛行機に関する本を読んでは試行錯誤をしていたため、学校の成績は悪かったそうです。周りの大人たちからは「そういう仕事はものすごく勉強ができてお金もたくさんないと無理だからあきらめなさい」「ちゃんと勉強していい学校に入っていい会社に就職しなさい」と言われ続けました。唯一、植松氏の母は無理だと否定はせずに「強く願い続ければ『思いは招く』んだよ」と励ましてくれたのだそうです。
少年だった植松氏が「いい会社ってどんな会社?」と大人たちに尋ねると「安定していて、楽をしてお金が稼げる会社だよ」との答えが返ってきたそうです。それを聞いて「たくさん勉強して知識がつくのに、いい会社に就職したらその知識を使わずに楽をするためだなんて、それじゃ何のために勉強するのかわからない。なんて矛盾しているのだろう」と感じていました。
大人になって父の作った会社を継いでからも心の奥に子どもの頃の夢は生き続け、北海道大学でロケットエンジンの研究をしていた永田 晴紀 教授との出会いをきっかけに、ロケット開発をはじめました。その道のりは平坦ではなく失敗の連続でしたが、決してあきらめずに試行錯誤を続けて現在に至ります。

植松氏は言います。
子どもの頃からずっと、周りと同じように行動すること、普通でいることを求められて孤独でした。でも「思いは招く」を心の支えにしてきて今があります。
現在の親や祖父母の世代は“素直・真面目・勤勉”であれば仕事は上手く行きました。人口が増加し続ける社会では、モノが不足するので大量生産が必要で、既に誰かが成功している事で商売をしても利益がでました。しかし2008年をピークに日本の人口は減少し続けており、モノが余る時代となり、同じ商品なら安い方が選ばれるようになってしまいました。そうなると、周りと同じことをしていては価格競争に巻き込まれ、利益を出せるはずがありません。現代の多くの大人が持つ価値観は、時代遅れなのです。その価値観を子どもたちに押し付けて、子どもの可能性の芽を潰してはなりません。
これからの時代に求められるのは、“やったことがないことに挑戦する・あきらめない・工夫し続ける”ことのできる人財なのです。そのためには、苦難の道のりも楽しいと思える仕事をすることです。
誰もやったことのないことに取り組み、それを仕事につなげるには、人々“が悲しいこと・苦しいこと・不便なこと”感じている現状をどうしたら解決できるのかという視点を持つこと、そしてその前提として、優しいこころを育てることが大切です。

以上は、親たちに向けた植松氏のウェビナー(オンラインおうち学校「思うは招く」~子どもの自信と可能性を奪わないために~ 講師:植松 努 主催:アルバ・エデュ)でのお話しからの抜粋です。
子を持つ保護者だけでなく、広く一般の大人にとっても学びのある内容と思い、共有させて頂きました。

植松電機と植松 努 氏についての参考情報です。↓
●植松電機 https://uematsudenki.com/
●TEDxSapporo 植松努(動画) https://tedxsapporo.com/talk/hope-invites/
●北海道の人、暮らし、仕事。「くらしごと」ホーム:(赤平市)NASAより宇宙に近い、植松電機が描く未来。https://kurashigoto.hokkaido.jp/konomachi/20190405100000.php

人を大切にする経営学会人財塾生 松久 知美

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