人を大切にする経営と「コロナの暗号」
9月11日(土)~12日(日)、第8回全国大会がオンライン配信で開催されました。リアル開催が叶わなかった事は残念ですが、居ながらにして感動的な素晴らしいご講演を2日間たっぷり聞かせて頂き、大変有難く満足度の高い大会でした。
それだけに講演・発表された皆様、そして坂本先生はじめ事務局様には、準備段階から並々ならぬ大変なご苦労があったことと思います。2日間本当にありがとうございました。心より感謝申し上げます。
さて、この7月、遺伝子の研究家として高名な村上和雄氏(筑波大学名誉教授)の、「コロナの暗号」(幻冬舎)という本が出版されました。私はそれを新聞広告で知り、さっそく取り寄せました。本の出版が7月、亡くなられたのが4月であることから、同書はまさに氏の「遺言」ともいうべき書です。残念ながら私は科学的知識が乏しく、難しいことはわかりませんが、その内容は私たちに多くの示唆を与えてくれます。
➢16世紀の大航海時代から顕在化した人類の「モア・アンド・モア」は、18世紀後半の産業革命で急速に近代化し帝国主義へ突入、金と力の闘争である西洋型近代文明が東洋を支配し、環境問題を引き起こした。行きつく先は、人類自らの滅亡しかない。
➢1950年前後に始まった(有力説)とされる「人新世」は、この先20年間、抜本的対策を講じなければ、人類は自らを滅ぼす可能性に向かっているとしか思えない。
➢私は長年の研究から、遺伝子には「利己的」なものと「利他的」なものがあると考えてきた。利他的遺伝子の存在が証明できれば、この窮地を脱する手掛かりが得られるかもしれない。
・・・ここまでは同書の18ページまでに書かれています。続いて、
➢約32億の文字からなる精巧な生命の設計図(遺伝子暗号)は、いったい誰が書いたのか。人知を超える偉大な存在があるのではないか。その存在を私は「サムシング・グレート(Something Great)」と表現するようになった。
➢日本には昔から「おかげさま」という言葉がある。これには「命を生かしてくれている太陽、月、空気、水、地球のお陰、ご先祖さま、あなたのお陰」という意味が含まれる。深い精神性を持った古きよき日本の心は、21世紀に必ず必要とされると確信する。
➢モノに対する過度の執着をなくし、互いに助け合って暮らす「つつしみの心」こそ、これからのライフスタイルを考えるキーワードになってくるのではないか。
➢地球という大きな視野の中で自分が果たすべき役割を意識して行動する、「つつしむ力」こそが新型コロナが暗示するメッセージであり、地球の危機状況から人類が読み取るべき重要な教訓なのではないか。
・・・など、分かりやすくも奥深い表現は、とても纏めきれません。既にお読みになった方もいらっしゃると思いますが、舌足らずの点や間違いがございましたら、ご指摘頂けると幸いです。
氏の著書や論調には、様々な捉え方・考え方があると思いますが、私は解らないなりにこれも一つの「真理」であると考えています。それは、坂本先生の人本経営学の基本的な部分と見事に同調するからです。
先生はよく、「お天道様に顔向けのできる経営を」と仰います。お天道様を「サムシング・グレート」、経営を「生き方」に変えれば同じ意味です。もっとも、人本経営学は人間学、どう働く(経営する)かは、どう生きるかと同義です。
また、「おかげさま」、「つつしみの心」は、先日の全国大会第3分科会で小川長先生(尾道市立大)が、「『おかげさま』の経営」と題されたご講演のなかで、坂本先生の「五方よしの経営」を、「おかげさま」という言葉でわかりやすく表してくださいました(第8回全国大会冊子56ページ)。
私のような未熟な経営者が人本経営を貫き通すことは容易ではないと考えます。しかし自らが「5人の幸せ」を心から願い、ぶれない強い信念を持ち日々の経営にあたるならば、いつの日か大切大賞の受賞企業様と肩を並べる日がきっと、来ると思います。その羅針盤となるのは、坂本先生が長年研究され纏められた、人本経営学のセオリーです。加えて、利他的遺伝子のスイッチをONにし、謙虚で慎み深い心と態度で周りの人々と緩やかに繋がり、助け合っていくことができれば、人も企業も地域もみな平和で幸せになれるのではないか、そんな思いに駆られました。
「新たな資本主義」の真理、目指すところは、「コロナの暗号」が暗示するメッセージと同じ方向を指し示しています。
人財塾第3期生 浅野隆司(大垣ケーブルテレビ)
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