信頼と信用
信用と信頼について、ビジネスの世界ではよく話題になります。信用は、過去の実績など、目に見える確からしい成果・業績の積み重ねにより得られるもの、信頼とは、将来に向けてその会社、その人に頼りたいと思う気持ち、というように整理できると思います。
信用とは過去のこと、信頼とは未来のこと。
私たち弁護士は、基本的に信用されています(最近は、信用できない弁護士も出てきてしまっていますが)。そもそも法律上規定された資格ですし、法律違反だけでなく、倫理違反をしても懲戒を受けることがあります。
ところが、弁護士がみんな信頼できるか、というと必ずしもそうではありません。つまり「信用はできるが、信頼はできない」という場合が生じます。
これはどうしてなのでしょうか?以前はよく分かりませんでした。しかし、人を大切にする経営学会に参加し、「信頼」されている多くの経営者の皆さんに接している内に、徐々に信用と信頼の違いが分かってきた気がしています。
信頼とは、未来に頼りになることだとすれば、仕事で言えば、お客様がリピーターになってくれるということです。それでは、どうすればお客様がリピーターになってくれるのか。
これを、仕事の対価という観点で考えると、提供した商品・仕事に価格を超えた付加価値(+α)がある場合、その付加価値分が信頼となり、リピーターとなってくれるのだと思います。一方で、信用とは、その商品・仕事の価格と実際に受けた価値が同じ場合に生じるということではないのでしょうか。
商品・仕事の価値>商品・仕事の価格 信頼(付加価値)
商品・仕事の価値=商品・仕事の価格 信用
商品・仕事の価値<商品・仕事の価格 不信
価格に見合う価値がなければ信用は生まれません。しかし、価格と価値が等価値では信頼は生まれないのではないでしょうか。
どうやって信頼(付加価値)を仕事につけることができるか、私どものように製品を販売せず見えないサービスを提供する者にとってはいつも課題となります。日々、悩みながら付加価値を模索し続けています。
(学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)
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