多様な働き方で大切なこと
コロナウイルス感染症流行の影響もあろうかと思いますが、大胆に働き方を改革されている会社がよく見られます。
たとえば、最近も日経新聞に掲載されたTISは、これまでも遠隔地テレワーク、成長支援制度やライフステージサポート制度など、新たな制度を作ってきています。遠隔地テレワークは、会社から100キロメートル以上離れた地域でも勤務可能とし、原則出社不要で、出社する際には出張手当を出すなど、発想の転換をしました。成長支援制度とは、社員が業務に直接関係のない社会貢献、学習、又は多様な経験をするための兼業を認め、時短勤務や長期休暇を取得できるようにしています。またライフステージサポート制度とは、婚活のための休職や時短勤務を認めたり、後遺障害のリハビリのための休職を認めたりと社員の人生の岐路に寄り添い応援する仕組みを設けています。そういえば、日本で一番大切にしたい会社第5回審査員特別賞に受賞されたアクロクエストテクノロジーも、婚活サポートとして婚活期間、婚活サポート費1万円を支給されるなど様々な取組をされています。
また企業によっては、これまでのフレックス制をもう一歩進めた「スーパーフレックス」制を採用するところも出てきています。これまでのフレックス制は、会議、朝礼等1日の内の一定期間は、皆が出社して顔を合わせられるようにコアタイムを設定するのが一般的でしたが、スーパーフレックス制ではコアタイムも設定することはないため、全く働き方が自由となります。この制度はテレワーク制と親和性があります。
ただこれらの制度はある意味で社員の働き方に融通性が生じるようにも思えますが、これまで問題となっているとおり、働き過ぎを招かないように注意する必要があります。社員の中には、自分が好きで仕事をしているのだから、問題はないという人もいるかもしれません。特にIT関係の社員は、集中して乗ってくる状態になりますと、時間を忘れて仕事をしてしまうことにもなりかねません。
社員を信用しているので、あえて細かく時間管理はしません!社員の働き方を監視したくはありません!とおっしゃる経営者の方もいらっしゃいますが、むしろ第三者がきちんと就業時間を管理し、自己管理では行き過ぎてしまう社員の健康を管理するのも経営側の役割です。よく近藤会長がおっしゃっていますが、「優しさと甘さ」は異なります。この点では、柔軟な働き方を認めれば、認めるほど、今まで以上に労働時間の把握にセンスティブになる必要があります。社員の健康を守るため、その結果、社員が最高のパフォーマンスを発揮できるようにするため労働時間の管理はとても大切なのです。
(学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)
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