「こどもかいぎ」から学ぶ
7月22日から豪田トモ(企画・監督・撮影)の映画「こどもかいぎ」が上映されています。とある保育園の年長さんを中心とする子どもによる「かいぎ」を中心に保育園の1年間を撮影したドキュメンタリーです。
担任の先生を囲んで、7,8人の子どもたちが、輪になって「かいぎ」をします。議題は、「雨はどうして降るの?」「雨が降ったらどんな気分?」「人はどうやって生まれてきの?」「なぜ人は死ぬの?」「どうしてけんかをしちゃうの?」「どんな大人になりたい?」など、身近な話や科学的な話、そして哲学的な話まで、話題は多岐にわたります。自分の考えていること、思っていることを「ことば」にして伝えること、人の考えや思いを聞くこと、を目的とした「かいぎ」ですので、結論はありません。「かいぎ」の過程そのものが大切にされます。
またこの保育園では、けんかをしたときは、部屋の隅にあるテーブルに当事者である子どもを連れていき、本人同士で話をさせる取り組みも行っています。「ピース・デスク」と呼ばれています。ここでも無理をして解決をせず、本人たちが、自分たちなりに相手に気持ちを伝えることを大切にしています。
このような取り組みが習慣化しているせいでしょうか。子どもですので、もちろんけんかをすれば、口よりも先に手が出てしまいますが、「こどもかいぎ」で「どうしてけんかをしちゃうの?」の話が戦争に及ぶと、子どもから「武器とか暴力とか使わないで、話をすればいいんだよ!」などと至極まともな回答が返ってきたりします。
「こどもかいぎ」を見ていると「大人会議」と何にも変わらないなあ、と思います。うまく話がまとまらず、ついつい話が長くなってしまい的を射ない発言になってしまう子、途中で話を止められて、怒りだす子、親から聞いた話をしているんだろうなあと思わせる子、「大人会議」も同じ風景だったりします。
ただ異なるのは、「大人会議」には、会議の目的があり、結論を出さなければいけないところです。
そのためには、やはり訓練が必要です。的確に考え伝達する技術、的確な「ことば」の使い方、相手の真意を傾聴しようとする姿勢、意見を調整する姿勢が必要です。
「こどもかいぎ」はこれらの重要性に、改めて気付かさせてくれました。
(学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)
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