昨年より、インターネット上での求人広告に関する相談が数件発生しています。よくあるケースは、「1か月間無料で求人広告を掲載します。1か月が経過した後は、月●●万円の広告料が発生します」、というものです。1か月間無料という文字が大々的に掲載され、1か月だけ利用してみようと試しに利用したところ、広告掲載中止の方法が見つからず、気がつけば1か月が経過していて、月額の広告料が発生してしまうものです。

　詐欺ではないかという相談を受けますが、よく細かい条項を見てみると、有料広告の掲示がされています。広告料金は1か月あたり15万円程度からですので、面倒な紛争になるくらいなら、1か月くらいは仕方がないので支払ってしまいます。支払ってしまった後に取り返そうとしても、法律的にはなかなか難しいところです。文字が読みづらく、分からないように記載されていても、記載されている以上、詐欺とはいえません。

　そもそも無料で広告掲載ということは商売として成立していません。何らかの方法で課金されることは容易に想像できます。しかし、このようなケースが頻繁に起こっています。

　求人広告が無料となっていると、求人担当者もつい誰にも相談することなく、独断で契約を結んでしまいます。特にインターネットでの契約は登録をするだけでいいので簡易です。つい契約をしてしまって、請求書が来て、慌てて上長に相談をするということになります。

　振込め詐欺同様、このようなケースについては、社内で周知徹底し、無料であっても、契約前に契約内容のダブルチェックをお勧め致します。

　（学会　法務部会　常任理事　弁護士山田勝彦）