人財塾での学びを生かすために
経営人財塾第5期生の酒井です。新潟県新潟市で空調設備工事業を経営しています。
私の人財塾での1年間の受講の日々は、坂本先生の本を読み自分自身では少しは実践できていると思った「ひとを大切にする経営」が、そんな甘いものじゃないと確認できた日々でした。
幹部として創業者の義父を支えていた私にとって「ひとを大切にする経営」は、別世界で行われている、でも気になる“あこがれ”の存在でした。
先代創業者は、仕事があるということはありがたいこと断るな受注してから考えろ。
有給休暇は、体調不良の時に取るもので、万が一の場合のためにとっておくものだ。
かなり時代錯誤でした。しかし、なぜか今とは違い社内の雰囲気は“ほんわか”していました。業務時間中でも雑談が飛び交い、お互いに家族の話をし、家庭的な雰囲気だったのです。
そんな環境の中、私が社長に就任したら早速本にある制度を取り入れ、支払手形を止める、残業を減らす、有給休暇取得を推進しよう、そうすれば自動的に一歩一歩理想の会社に近づくはず、そんなことを考えていました。
実際社長に就任後、新制度を導入したところ、運よく業績も上がり社員の年収もUPしました。でも、誰も心から喜んでいないのです。残業も多いし、休暇も取れない、こんな環境で頑張ってやったんだから当然だろうと。
年末に嬉しい出来事がありました。
空調工事した学校の生徒さんからたくさんの感謝メッセージをいただいたのです。
市発注の公共工事で、既存空調機を更新し、新型空調機を設置するという一般的な工事でした。
それでも私たちはこの感謝から、明日へのエネルギーを頂きました。
仕事は、やはり相互作用、お客さまと一緒に作っていくものなのですね。
現場責任者に確認したところ、本工事は週休2日がルールでした。
しかし、学校行事中や特別支援教室周辺の工事は、授業と並行しての工事が困難で、土日も交代で出勤し、何とか工程を遅らせずにやり繰りしたとのことでした。
当然、職人さんとのスケジュール再調整など、苦労は多々あったはずです。
それなのに工事期間中に私が気にしていたのは、発注者が採点する工事成績評定(工事の点数が次回受注に影響)だったのです。
もっとみんなが気持ちよく仕事に携われるように何でこう言えなかったのか。
ゴミが落ちていたら、拾おうよ。
人とすれ違ったら、こちらから挨拶をしよう。
運転中に横断歩道で渡りそうな人がいたら、速度を緩め停止しよう。
そんな私が、今言えるのは、まず目の前の人を大切にするということです。
それが、社員であれば、様子を見て、声を掛けねぎらう。
業務であれば、お客さまのために、心を込めて請け負った仕事をする。
自分のエゴを意識して、いい人、いい経営者と思われたい強い思いを抑制すること。
地に足をつけ一段一段と階段を登っていく、やり方でなく、あり方だよ、そろそろ腹落ちしようよ。
人財塾第5期生 研冷工業株式会社 酒井巳喜雄
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