NHK大河「光る君へ」を仕事に活かす(源氏物語) 朧月夜

 朧月夜(おぼろづきよ)は、紫式部の物語『源氏物語』の架空の登場人物です。六の君、有明の君、尚侍君(かんのきみ)とも呼ばれます。

 この名前は大江千里(歌人)の和歌「照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜にしく(似る)ものぞなき」に由来します。当時権勢を誇った桐壺帝の右大臣の六の君(六番目の娘)で、弘徽殿女御の妹という高貴な生まれでしたが、作中では珍しい艶やかで奔放な気性の女君として描かれています。

 姉・弘徽殿女御の産んだ東宮(後の朱雀帝)の女御に入内する予定でしたが、宮中の桜花の宴の夜に思いがけなくも光源氏と出会い、後に関係が発覚して入内は取り止めになります。葵の上の死後、右大臣は源氏と結婚させることも考えたが、弘徽殿女御が猛反対し、源氏自身も既に紫の上を妻にしていたため実現しませんでした。源氏は左大臣派閥なので、右大臣派閥とは政敵の関係です。

 朧月夜は、美貌と当世風で華やかな人柄から朱雀帝の寵愛を一身に受ける一方、源氏との恋愛関係も密かに続けていました。朱雀帝は、彼女の浮気を知っており、自身が源氏の魅力に及ばぬことを認め、朧月夜を責めませんでした。しかし、源氏と娘の密会場面に遭遇してしまった右大臣とその妻・弘徽殿大后は怒り、源氏は京から離れ、須磨への左遷を受け入れます。その須磨では、新しい恋人の明石の君と出逢うことになります。

 源氏の不在中に父太政大臣(元右大臣)が死去。朱雀帝退位の後、源氏は政界の中心に復帰し、源氏の全盛時代には朱雀院に従いました。朱雀院出家後に再び源氏と関係を持ちますが、最後は源氏にも告げずに院の後を追い出家し、物語から退場します。

 自分の政敵の娘に手を出し、政敵に発覚されて26歳で左遷。その左遷から朱雀帝による召喚で28歳に電撃復帰し、その後は宮中政治のトップに躍り上がる出世物語へと展開されます。                           (人を大切にする経営学会:根本幸治)

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