社員が株を持つ意義
人を大切にする経営を実践する会社では社員が会社の株を保有することも少なくありません。社員を大切にするというあり方を追求していくと自然とそうなるのでしょう。
では、社員が株主になることでどのような効果が生まれるのでしょうか。
一つ目に社員が株を持つことで当事者意識が高まりモチベーションが高まることが想定されます。人を大切にする経営においては社員のモチベーションの高さが業績に直結してきます。学会長の坂本光先生も「社員のモチベーションが低くても業績が高い会社はたまにあるが、社員のモチベーションが高い会社で業績が低い会社はない」とおっしゃられています。
二つ目に経営に必須なイノベーションが起こる素養ができると言えます。中小企業が業績低迷する理由として経営陣が変わらないことで組織が停滞することが挙げられます。社員が株主になることでより社員からも意見を取り入れるようになるでしょうし、新しい取り組みも自然に増えてくるでしょう。
三つ目に次世代経営者、経営幹部の育成につながっていくでしょう。これからは社長の息子、娘だから経営者になれるとはいかない時代になっていきます。適した社内人財を経営者として育成することが企業存続には不可欠になります。したがって、経営者視点を持った社員が増えることは企業の成長発展に直結します。つまり、社員が株を持つことは長期的な経営人財育成に寄与すると言えます。
最後に、企業経営において事業承継が最も難しい取り組みと言われている昨今、名経営者であればあるほど事業承継で躓きます。日本の半分に後継者がいない現状において社員が株を持つことで円満な事業承継が進むのではないかと最近強く思います。ただ、そのベースにも日々の人を大切にする経営が不可欠と言えます。この分野の研究をされに進めていきたいと考えております。
(人を大切にする経営学会 事務局次長 水沼啓幸)
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