NHK大河「光る君へ」を仕事に活かす(源氏物語) 野分(のわき)

 光源氏が太政大臣の地位にある36歳の秋、妻の紫上が28歳、葵上が生んだ長男の夕霧は15歳になっていました。

 野分=台風の見舞いにやってきた夕霧は、紫上の姿を垣間見ることになります。

 風が強いため屏風が折りたたまれ、奥まで見通すことができるその廂の間の御座所に座っていたのが紫上でした。

 彼女の美しい色艶にのぼせて、夕霧はじっと彼女を見つめています。

 紫上の美しさは、夕霧を全身的に包み込み、義母への狂おしいまでの恋情を醸成させます。

 かつて源氏は、義母である藤壺と密通を犯しました。それゆえ、源氏は夕霧から紫上を遠ざけていました。

 しかし今、夕霧が義母の紫上に熱い視線をおくっていることは、再びの秩序崩壊を予感させます。

 夕霧は、これ以上の行動に移ることはしませんでした。紫上との密通は生じませんでした。

 それでも、源氏物語の奥底に潜められた密通というテーマは、のちの柏木と女三宮との間で生じ、因果応報として、源氏を苦しめることになります。                     (人を大切にする経営学会:根本幸治)

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