外国籍従業員の雇用で気付いた、大切なこと

経営人財塾6期生、株式会社イゲタ金網の森崇倫と申します。弊社は東大阪市で建築・土木・工業用金網の製造をしています。主製品の用途はコンクリートのひび割れ防止なのですが、「たとえコンクリートの中に埋まってしまう金網でも、少しでも綺麗な四角形の製品を製造しよう」という想いで「#(井桁)」を社名とロゴマークにしております。

経済産業省の統計によると、主製品の国全体での出荷量は直近5年間で約15%も減少しており、そのような事業環境下で過去に3社、廃業する競合他社の工場や従業員を引き継ぎました。工場が他拠点化し、人材確保の必要性が高まってきたことで、2018年5月から外国籍従業員の雇用を始めています。

 経営者として会社経営に対する価値観が大きく変わるきっかけになったのが、初めて行ったベトナムでの面接でした。それまでの日本人の採用面接では、『前職がブラック企業だった』などの後ろ向きな志望理由が多かったのですが、ベトナムの子達からは『イゲタ金網で働くことが、私と私の家族の夢を叶えることに繋がります』と言われ、就労と個人の夢の実現がリンクしても良いのだということに気付かされ、当時、坂本先生の本との出会いもあったことから、『自らの夢を叶える』『物心両面の幸せの追求』という文言を入れた経営理念を作成することに繋がりました。

来日後の彼らの働きぶりは素晴らしく、常に陽気で誰とでも平等にコミュニケーションを取り、知識や技術の習得に貪欲な姿勢に日本人が刺激を受け、外国籍従業員の雇用は、単に人手不足の解消だけではない多くの利点があることに気付き、すぐに2期生の採用を決定しました。また、せっかく技術を覚えても、いつの日か帰ってしまう彼らの為に東南アジアのミャンマーでの製造拠点の設立を決めました。海外で仕事をすることは私の学生時代からの夢でしたので、彼らのおかげで、逆に私の夢が叶いました。感謝しかありません。

外国籍従業員の視点で考えてみると、日本は最低賃金が韓国よりも安く、控除される税金も多くて手取り額が少ない上に自国通貨安な状況なので、先進国で働くことを希望する人々にとって、日本は魅力的な就労場所ではなくなりつつあります。他の国ではなく日本を選択し、来日して就労してもらえるだけで本当にありがたいはずなのに、多少の偏見や差別等が無くならないのも、現実かと思います。

それでも弊社の子会社があるミャンマーでは、憧れや安心感からまだまだ日本で働くことを夢見る若者が多く、停電でクーラーや蛍光灯が付かない環境で必死に日本語を勉強する彼らの姿を見て、1人でも多くのミャンマー人が日本で就労の機会を得ることが出来るよう、私が前職での経験があったことから、今年4月から新規事業として有料職業紹介業を始めました。日本企業の人手不足という経営課題の解決と、従業員の個人の夢を実現させる、非常に意義のある仕事だという認識です。

人財塾での昨年1年間の学びはとても内容が濃く、自分の中ですぐに吸収しきれない日々でしたが、人を大切にする企業の多くの事例に触れ、沢山の仲間との出会いがあったことや企業訪問が出来たことは、私の大きな財産となりました。学んだことを実行しなくては意味がありませんので、時間が掛かることではありますが、少しずつ実践をしていきます。自社の従業員とその家族を幸せにするとともに、微力ながら、新規事業を通じて人を大切にする経営を広める一助にしていきます。

人財塾6期生・株式会社イゲタ金網・森崇倫

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「外国籍従業員の雇用で気付いた、大切なこと」への1件のフィードバック

  1. >>また、せっかく技術を覚えても、いつの日か帰ってしまう彼らの為に東南アジアのミャンマーでの製造拠点の設立を決めました。
    ⇒とても素晴らしいですね。私がご縁をいただいている企業の社長さんも、同様のことを口に出されています。
    企業としてのグローバルな社会貢献活動ですね。とても参考になりました。私もベトナムとの接点は長いです。彼ら彼女らから学ぶことも沢山あります。これからも、いろいろと情報交換をお願いいたします。