No343記憶に残る言葉【柿の実幼稚園;園長 小島澄人氏】

今回は2017年3月の「第7回日本でいちばん大切にしたい会社大賞」にて厚生労働大臣賞を受賞された『学校法人 柿の実学園 柿の実幼稚園』さんから記憶に残る言葉をご紹介致します。2017年9月に【人を大切にする経営学会 第四回全国大会】に合わせた視察企画先となり、約30名の学会会員の皆様と一緒に訪問させていただきました。

http://www.kakinomi.com/kakinomi/top.html

柿の実幼稚園は神奈川県川崎市麻生区にあります。

2017年に伺った時点では、“約1400名の園児が通い、そのうち約300名は何らかの障がいを持ったお子さん達。車いすで登園する子供は20~30名になります。そして障がい児もみんな一緒に同じクラスで過ごします。”

ひとクラス30名くらいの園児に対して3名の先生が受けもつ体制。多い場合は5、6人の先生を配置しています。

2018年4月に新たな幼稚園を開園するため約100人の先生募集に対して2017年9月時点ですでに見通しがたちつつある状況だという事でした。保育士不足が社会問題となっているこの時代にあって驚愕せずにはいられない状況です。

園長の小島澄人氏は長崎県の五島列島出身で11人兄弟。お父様がクリスチャンで、島々をめぐる生活をされていたそうです。

小島さんが幼稚園に入る頃、お父様が行く先の島には幼稚園がなかったために、家族と離れてある漁師さんのお家に預けられます。隣の家まで100メートル以上離れているような地域。そこでは、自分以外にも漁師さんのその家族ではない人たちが一緒に生活をしていたということです。小学校3年の時には人を助けたいと神父になることを決意したと言います。また、筋ジストロフィーを患う友達がいて違和感なく話していたと言います。幼少時の多様性に富んだ生活は小島園長に大きな影響を与えたのでしょう。

大人になり職業は高校教師を選びました。その頃、代々続く地主の家系に生まれた奥様と運命的な出会いがあり、奥様のお父様が幼稚園を始めたことがきっかけとなって、高校教師を辞め副園長になります。30年以上前のことでした。

緑に囲まれた広大な敷地に様々な施設や遊具がありますが、はじめは小島園長が一人で山を切り開いて手づくり幼稚園を造っていきました。園内には小島園長が自作した石畳や遊具、壁画など約250点もの造作物があちこちに存在し、園児たちの感性を刺激して恰好の遊び場になっています。

ここでは“子供に自然を愛する教育”をするのではなく、“子供が自然を生み出す教育”をしています。食べたものの種を採って、その種を子供が植えて、広大な園内のあちこちで育っています。

園内の畑では安心安全な野菜も作っていて、ジャガイモ・さつまいも・大根など年間8,000~10,000株の野菜を子供が植え、観察しながら育てています。

その野菜は園内で食すだけではなく、園児の家庭にも配られます。さらに地域の皆さんに販売しています。アッという間に売れてしまうそうです。その売上げは絵本を買う資金になっています。

10数年前小島園長は脳梗塞で倒れ、右半身が不自由になりました。退院後も元気だった時と同じように、毎朝登園してくる園児を正門で待ち構え、全員と握手・挨拶をし続けたところ、見事に脳梗塞の後遺症は回復し今ではまったく不自由はなくなりました。園児とのふれあいが大きな作用をもたらすことを証明しています。薬やリハビリでは解明できない効果が秘められているのでしょう。

全国的には障がいを持つお子さんが入園できる幼稚園はまだまだ少ないです。小島園長は、“この幼稚園だけでは限界があります。世の中の幼稚園も同じように受け入れてられるようになっていくことを願っています。”と言います。同園では園児の親が自ら資格をとって先生となる割合が多いと言います。さらにこの幼稚園を卒業した児童の中で、今では30名以上が全国の幼稚園で園長を務めているということですから、ここにも全国に広がる素晴らしい理念があるのです。

***補足***

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です