後継経営者と人を大切にする経営

先日ある経営者向けの研修会にて人を大切にする経営についてお話をさせていただきました。その後の名刺交換で「これからはこの経営を実践しないと生き残れないですね」とおっしゃる後継経営者がいらっしゃいました。事業承継時において、後継経営者と人を大切にする経営は相性がとてもいいと言えます。実際に、人を大切にする経営を実践し成果を上げる後継経営者が全国的に増えています。
先代が大半を過ごした時代は人口が増加し経済が成長する前提での企業経営でした。しかし、これからは人口減少で経済が縮小する時代の経営です。後継経営者世代は経済が大きく成長する時代を知りません。そのため、売上のための規模の拡大や大量生産には当然、違和感を抱きます。質を高める、社員や取引先をお客様より重きを置く、人を大切にする経営は自然にしっくりくるのです。
 ただ、人を大切にする経営を実践するにあたって、後継経営者の最大の抵抗勢力になるのが先代経営者です。日本でいちばん大切にしたい会社大賞の1次審査項目のうち、「社員への財務データの開示」、「有給取得率80%」、「男性の育児休業取得」、「支払手形NG」などなかなか理解しがたい項目かもしれません。しかし、日本でいちばん大切にしたい会社が創設された15年前ならまだしも、これらの項目には今は法整備がなされ推進されるような項目になりました。時代が追い付いてきたのです。
私の周りでも今年は5社で代替わりがありました。私より若い世代の代替わりが多くなりつつあります。その5社において後継経営者すべてが人を大切にする経営を実践するという方針を掲げています。しかし、先代が人を大切にする経営に触れていないため、全員が先代の目を気にしながらのスタートです。理解を得ながら時間をかけて一歩一歩取り組みを進めて行って欲しいと切に願います。

人を大切にする経営学会 事務局次長 株式会社サクシード 水沼啓幸

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