No349記憶に残る言葉【株式会社特殊衣料;池田啓子社長(現;会長)】
今回は2017年3月の「第7回日本でいちばん大切にしたい会社大賞」にて審査委員会特別賞を受賞された『株式会社特殊衣料』さんのお話から記憶に残る言葉をご紹介致します。
同社は北海道西区発寒にあり、2017年9月に坂本ゼミ生のメンバーと訪問し池田啓子社長(現;会長)にお話を伺いました。
株式会社特殊衣料さんの創業者;田中弘氏は現池田啓子会長の叔父にあたります。
元北海道庁職員でしたが、社会福祉法人出向の経験から同庁を早期退職し1979年に特殊衣料を創業。病院や福祉施設向けのリネンサプライ事業をスタートしています。
池田会長は1984年の工場移転を機に叔父に事業を手伝うよう頼まれ、週1回経理のパートアルバイトからかかわり始めました。そして事業の魅力を感じて深くかかわるようになり1996年2代目の社長に就任。現在の主な事業は創業時のリネンサプライ事業に加えて、顧客ニーズに応える形で清掃事業、福祉用具の開発・販売事業分野へ広がっています。
●概要
商号 株式会社 特殊衣料
創業 昭和54年4月
法人設立 昭和56年10月
資本金 4,000万円
代表者 代表取締役社長 池田 真裕子
取締役会長 池田 啓子
従業員数 124名(障がい者社員30名)※令和6年10月現在
事業内容
リネンサプライ(病院、施設)
清掃(病院、施設)
福祉用具(1)オリジナル商品の開発(2)福祉用具の製造(自社商品とOEM商品)(3)福祉用具のレンタル・住宅改修(4)福祉用具の販売
●雇用について(2017年9月訪問時のデータから)
・全社員は180名。そのうち女性社員120名。割合は67%です。
・障がい者は知的、身体、精神、発達の方々あわせて27名。障がい者雇用率は単純計算で15%に上ります。
・障がい者雇用のきっかけは1990年に高等支援学校からの実習依頼が契機となり開始。
・障がい者だけでなく引きこもりやニートの若者を5名採用。
・60歳以上は44名(割合は27%)、最高年齢は75歳。
●特筆しておきたいこと
①2004年に社会福祉法人ともに福祉会の認可を受けます。
訪問時点では定員40名の就労移行支援事業として最近では年平均7名が就職。半年定着95%、3年定着85%を誇っています。そして特殊衣料ではなく一般企業に就職しています。
②頭部保護帽アボネットを開発・販売
2000年に産学連携プロジェクトに参加し“デザイン性、軽量、洗濯できること”を目指し2002年完成。同社の主力製品となっています。
③高齢者や片マヒを疑似体験できるセット「まなび体」を開発・販売
社員研修などで活用されています。装着経験は多方面に良い効果が見込めるでしょう。
④「tomoni art」
社会福祉法人ともに福祉会の知的障がい者が描く作品ブランドです。
オンラインストア https://tomoniweb.thebase.in/
●最後に
池田社長(当時)は常に和やかな笑顔で迎えてくださり、やさしさに包まれた空気感の記憶や謙虚でありながらも訪問メンバーからのアドバイスによってさらに学びたいというお姿が今も脳裏にあります。池田社長の元で一緒に働く社員の皆さんは幸せなのだろう、こんな社長の元で一緒に働きたいと素直に感じたひとときでした。
池田社長は“私は失敗ばかりで、思いばかりが強い”“課題解決をするとこで新たなチャンスが広がる”“社員の幸せが会社の発展につながる”とおっしゃっていたことが、そのまま同社の事業展開や歴史から感じ取ることができ、とても自然な経営をされているのだと感じた訪問でした。
***補足***
この投稿では「法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室」や「人を大切にする経営学会」での経験をもとに毎週火曜日にお届けしております。個人的な認識をもとにした投稿になりますので、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(人を大切にする経営学会会員;桝谷光洋)
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