定款に経営理念を
3月13日の日経新聞デジタル版に「物言う株主に狙われる40社公開 日経ビジネス独自予測」との記事がありました。、もちろんこの記事で記載されている会社はほとんどが上場会社であり、外資等アクティビストが関わっている会社のことです。
しかし、非上場の会社であっても金融機関、関連会社等の株主が入っていることがあります。またオーナー会社であっても、相続等が発生してしまい必ずしも経営者と同じ方針等を持たない人が株主となったりします。
本来会社は、公器ですので社会に貢献することが前提です。株主もそのような意識で経営に物を言ってくれればいいのですが、未だに自己の株主としての利益を最大限とするように経営に口出しをしてくることがあり得ます。
日本においても2023年東証は「資本コストや株価を意識した経営」を要請するなどしています。内容自体をよく読めば、公器としての持続的成長を目指した経営を要請されていることは分かりますが、誤解をすると株主利益を優先するように思われてしまいます。
私は以前から定款に経営理念を入れることをお勧めしています。最近は様々な人が定款に経営理念を入れることについて言及するようになってきました。
定款は、会社の組織のあり方を定める根本ルールです。会社の最高法規、会社の憲法にあたります。天皇陛下も内閣総理大臣も憲法に従わなければならないように、株主は定款に従わなければなりません。
その定款に経営理念を入れることによって、株主も会社の経営理念に従わなければなりません。日清食品ホールディングス株式会社の公開された定款によれば、第2条に「当会社は、創業者精神(食足世平:「食が足りてこそ世の中が平和になる」、食創為世:「世の中の ために食を創造する」、美健賢食:「美しく健康な身体は賢い食生活から」、食為聖職:「食の仕事は 聖職である」)に則り、環境・社会課題を解決しながら、企業価値を高め、持続的成長を果たす。」としています。ここには、株主の利益を最大限にすることは入っていません。
したがって、この会社においては株主が自己の利益を最大限に求めると物言うことはできません。
定款変更の手続きはそれほど面倒ではありません。是非、この機会に定款の見直しをし、経営理念を定款に入れてみて下さい。
(学会 法務部会 常任理事 弁護士山田勝彦)
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