経営人財塾(EMBA) 7期生の学びを造園サービス業の経営に活かす

 植彌加藤造園株式会社の加藤友規です。経営人財塾(EMBA)(以下、人財塾)7期生38名は、おかげさまで2025年3月8日(土)に修了式を迎えることができました。坂本光司先生をはじめ、坂本洋介先生、講師・コーディネーターの先生方 、 同期のみんなに感謝の想いでいっぱいです。本当にありがとうございました。本稿では、人財塾での1年間の学びと、その学びを自社の経営に活かした事項を共有させていただきます。

 当社は家業としての創業(嘉永元年・1848)から177年が経ちますが、法人化は昭和62(1987)年、今期で38期を迎える発展途上の企業です 。法人化当時の社員数は職人10人程、売上高は約1億円でしたが、現在は社員数130人、職人に加えて設計技術者、学芸員、研究者など多様な人財が集う企業へと成長し 、売上高 も13億円程度の規模になりました 。私は会社経営で「不易流行」の考えを大切にしています。伝統的に「技術第一」を「不易」(変えてはならないこと)とし、「造園サービス業」を「流行」(変えなければならないこと)と捉えていましたが、坂本光司先生と学会に出会い、学会に入会してからは、「五方良し経営」の基盤こそが 、最も尊い「不易」と位置付けています。人を大切にする経営を基盤としたうえで、「池クジラ」たる非価格競争型企業であることが、人財塾で学んだ会社の目指すべき姿、すなわち、会社の正しい「あり方」です。

 人財塾では、月に一度、金曜日午後に講師の先生方の中小企業経営論や実践経営学の講義を、土曜日に坂本光司先生の中小企業経営事例研究のゼミが開催されます。充実した坂本ゼミのカリキュラム で、時間はいつも足りません。そんな中でも、欠かさず「感動エピソード」の輪読が盛り込まれていることは特筆すべき点です。坂本ゼミでは、経営のノウハウやテクニックではなく、人としての優しさや思いやりの尊さを学びました。「人の優しさは涙の量に比例する」という先生のお言葉が心に沁みます。

 当社は「社員満足(ES)」を飛躍的に高めて、そのうえで「顧客満足(CS)」を高めるという、坂本光司先生の教えに基づいて取り組んでいます。さらに、「感動」をキーワードに、「社員感動満足(EIS)」を基盤とした「顧客感動満足(CIS)」をお客様に永続的に届けていけるように、人財塾での学びを実践しています。

 具体的には、植彌加藤造園流SECI(セキ)モデルの仕組みの中でも、「伝心共感会」(旧称:「現場パトロール」)という現場の意見交換会に「感動」を盛り込んでいます。そこでは、職人個人の暗黙知を集団の暗黙知として共有 ・ 共感し、さらに形式知化することにも挑戦して、職人の「心と技」をスパイラルアップしていきます。「いい仕事」を「いい仲間」、「いい上司」、「いい企業」、「いい家族」との繋がりの中で生まれる「感動」の共有体験を通じて、職場の働きがいの向上を図っています。従来からの暗黙知と形式知のナレッジマネジメントに、坂本光司先生の五方良し経営の教えを注入した当社の成果を、近未来には学会の皆さまにご報告できるよう精進していく所存です。これからの人生で、人財塾で学んだことを社会にお返しして参りたいと思います。人を大切にする経営学会の皆さま、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

人財塾7期生
植彌加藤造園株式会社
加藤友規

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