No358記憶に残る言葉【有限会社プラスアルファ;小川社長】
今回は2014年2月に坂本ゼミ春合宿先のひとつとして訪問した『有限会社プラスアルファ』さんをご紹介致します。当日は小川社長にお話しをうかがいました。
https://www.big-advance.site/s/152/1627
●概要(2014年ご訪問時の資料から)
有限会社プラスアルファ
創業 1985年9月1日
代表取締役 小川 行治
本社所在地 福岡県福岡市東区松島2-3-36
資本金 300万円
従業員数 18人
事業 クリーニング業
取引先 西鉄グランドホテル、西鉄イン博多、岩田屋三越など福岡を中心としたほとんどのホテル
関連組織 2012年に一般社団法人 友愛を設立し就労継続支援A型事業所を開始
障がい者人数 精神障がい者10人、知的障がい者15人、身体障がい者10人
●社長の経歴と設立のきっかけ
“以前はお金もうけしか興味がなかった”とお話された小川社長。
“お金のもうけ話なら北海道から沖縄まで出かけた。お金しか信用しなかった。しかし騙され、何度かもうけ、また騙された”
そんな時に親戚の法事がありました。親戚に障がいをもった子供がいて働けない現状を知るのです。その時に全身が身震いし自分の仕事はこれだ!とわかったとお話いただきました。22年前のことでした。
●苦悩
事業は始めの頃全くうまくいきませんでした。障がい者はいう事を聞いてくれません。
そうすると、“一生懸命おしえているのにと思い上がりが出てくる。腹が立ってくる、イライラしてくる、八つ当たりする、手が出る、悪循環になる”
そんな時たまたま道を歩く親子が目にはいります。
母親が小さい子の問いかけに、座って目線を合わせ接する姿を見たとき、障がい者にも同じように接する必要を理解したのでした。
それから3年くらいで少しずつ良くなっていきます。
●クリーニング業
安定収入が必要となりクリーニング業を開業。大手にはかなわないために差別化として24時間営業とします。どこもやっていませんでした。
社長自身が以前東京のホテルで23時に汚れてしまったスーツクリーニングを断られた経験が活かされます。
福岡にあるホテルに営業をして回ります。何度も頼みにいきます。ある時取引開始には保証人を要求されましたが、粘り強く交渉を続け保証人なしで取引開始となりました。
1社と取引が始まるとすぐに大手ホテルが口コミで次々と顧客となりました。値段は定価。クリーニング業としてブランドを維持することを心掛け、品質に注意しました。丁寧な手仕事。値引きはしません。
今では福岡で開催される芸能人のコンサート後のクリーニングはほとんどの依頼が同社に来るそうです。
●応募がきた順番に採用(ハローワーク求人)
ハローワークに求人募集をする場合は、応募がきた順番に採用しています。決して断りません。断ること自体が差別だと考えているのです。
その人を会社の戦力に変えていくことが会社の義務だと考えています。“障がい者雇用はリスクではなくチャンス。障がい者はダイヤモンドの原石”
●最後に
小川社長は国への想いとして「健常者に都合の良いような制度」「本気で障がい者の成長・育成をしようとはしていない」と言います。
今の時代は、人を障がい者とか健常者とか区別をすることが制度上になされていますが、一人ひとりに向き合ってその芽を伸ばすことができれば、よりよい人生を過ごすベースになるのだと感じました。
***補足***
この投稿では「法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室」や「人を大切にする経営学会」での経験をもとに毎週火曜日にお届けしております。個人的な認識をもとにした投稿になりますので、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(人を大切にする経営学会会員;桝谷光洋)
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