人を大切にするDX

DXとは、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することです。(経済産業省『デジタルガバナンス・コード』より)

情報システムを担当する私は、何年もDXを推進する中で、モヤモヤを募らせていました。

「DXは従業員を幸せにするのか?」

この問いへの答えが、前述の定義からは見つけられなかったからです。

顧客価値や株主価値は、DXによって向上できそうです。しかし、デジタル化による過度な効率化が、人件費削減やリストラを招くのではないかという恐れを、私は拭いきれませんでした。

このような中でご縁をいただき、人財塾で学び始めました。人を大切にする経営の実践例を多く伺い、また30社以上を訪問する中で、気づきました。

「5人の幸せ、特に社員とその家族の幸せの向上を、DX推進の目的に据えればいいのだ…!」

この1年間に出会った多くの会社が、データやデジタル技術を「五方よし」を実現する手段として、積極的に活用していました。

人財塾生は1年間の学びの集大成として、プロジェクト研究に取り組みます。私は、人を大切にするDX事例を取材して回り、「DXによって5人を幸せにするための7つの問い」をつくりました。

1. DXを通じて5人を幸せにすることを、経営者が自ら表明していますか?

2. 今あるITシステムのどこを変えれば、5人がもっと幸せになれると思いますか?

3. 5人の幸せに役立っていないシステムは何ですか?それらは廃棄・標準化できますか?

4. 重要なシステムは、「速さ」「しなやかさ」「五方よし」を兼ね備えていますか?

5. どの指標を追えば、DXを通じて5人を幸せにできますか?

6. 人を大切にするDXを進めるために、人を育て、体制を整え、仕組みに落とし込んでいますか?

7. プライバシーや情報の安全性は、5人全員が安心できる水準ですか?

これらの問いを自社に適用し、人財塾の学びを活かしながら、5人の幸せをDXで実現したいです。その過程で問いをさらに洗練させ、「人を大切にするDX」を世の中に広めたいと願っています。

まずは全社員と面談し、心理的・身体的負荷の高い業務を洗い出すことから始めました。そして現場と二人三脚で、請求・発送業務などの自動化をローコードで進めています。ウェブサイトも刷新中で、数か月後にはお披露目できそうです。今後も5人に寄り添いながら、DXを一歩ずつ積み重ねます。

人財塾では、素晴らしい仲間に恵まれました。一人ひとりが学びを活かし、幸せの輪を広げようと奮闘しています。私も仲間たちと切磋琢磨しながら、「一人ひとりを大切にするシステム」をつくろうと、しばらくもがき続けます。

人財塾7期生株式会社中川ケミカル 杉村宏之(中小企業診断士)

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