教育訓練休暇給付金の創設
今年(令和7)年10月1日に教育訓練休暇給付金の制度が創設されます。これまでも教育訓練給付制度はありました。教育訓練給付制度とは、社員が能力開発やキャリア形成をするために、厚生労働大臣が指定する教育訓練を終了した場合には、その教育訓練費用の一部が支給されるというものです。昨年(令和6)年10月1日、それまで受講費用の最大70%の給付が、80%まで引き上げがなされました。
今回の教育訓練休暇給付金とは、まさに社員が教育訓練に専念するために仕事から離れる場合に、その訓練期間中の生活費を支援する制度です。
給付金額は、離職時の雇用保険の基本手当相当分であり、期間は、被保険者期間(入社日から退職日までの期間で、月の賃料支払対象日が11日以上ある月の合計期間)に応じて、90日、120日、150日分が給付されます。
もちろん、教育訓練費同様、教育機関等は国が指定した場所となります。また基本手当が支払われますので、無給休暇に限定されます。
人を大切にする経営学用語事典では、「自己啓発支援制度」として、「人を大切にする経営において、会社の成長とは社員一人ひとりの人間的成長の総和と定義されている。経済・社会環境が激変する中で、労働者には従来の専門知識・スキルに加え、予測できない課題に対処する幅広い知識と解決能力等が必要とされ、労働者が主体的に行う自己啓発はその一助になると期待される。社員一人ひとりが人間的成長に取り組むことができるよう、自己啓発を阻む時間不足、費用等の問題に対し、労働者の実情に即したより一層の支援を講じたい。」とされています(265頁)。
会社によっては教育費にあまり予算を割けない会社もあるかもしれませんが、養育訓練給付金、教育訓練休暇給付金等の制度は、社員が休暇をとって、リスキリングができる仕組みを制度化する一助になると思います。
細かい点は、省令で今後制定されていくことになります。
是非関心をもって活用してみてください。
(学会 法務部会 常任理事 弁護士山田勝彦)
コメントを残す