No374記憶に残る言葉【株式会社ピーターパン;横手 和彦社長(当時)】
今回は2016年2月に坂本ゼミの“出張ゼミ”としてご訪問した『株式会社ピーターパン』さんをご紹介致します。
●概要(現在のホームページから)
商号 株式会社ピーターパン
設立 1977年4月
資本金 1,400万円
代表者 代表取締役社長 大橋 珠生(訪問時は代表取締役:横手 和彦)
従業員数 正社員109名、パート・アルバイト300名
本社 千葉県船橋市海神3-24-14
店舗数 直営10店舗(船橋市3店、鎌ヶ谷市1店、市川市2店、八千代市1店、習志野市1店、千葉市1店、白井市1店)1工場
事業領域 ちょっと贅沢、ちょっとおしゃれな食文化提供業
経営理念 夢と笑顔が拡がるホスピタリティベーカリーピーターパン
●創業者;横手社長
横手社長は元銀行マンです。しかし銀行業務が性に合わず2年で退職しています。その後都心でバーを経営。お店は繁盛し若くして成功されました。
そんなある日、3歳の娘さんの一言が人生を変えるのです。
“お父さんはお仕事なんて、していないじゃない”
“バーでお酒を飲みながらお客様と談笑する姿をみたのでしょう”、横手さんはそう言いますが、ショックを受けました。
そして横手さんは娘に誇れる仕事をするためにパン屋を選んだのです。
材料にこだわり、焼きたてを出し、丁寧な接客でお客様によろこんでもらう。“自分ならぜひ買いたい。心からそう思えるパンだけをお店に並べよう”そう考えたのです。経営者がお店の理念を明確に示した好例です。
その甲斐あってお店は繁盛し8店舗にまで拡大していきます。新規事業として始めたピザ部門も大きく成長していきます。
しかし、順風満帆が長くは続きませんでした。大きな壁にぶつかります。
大きな組織となった会社は、いつの間にかマネジメントが追い付かなくなっていました。お店の品質は下がり、理想のお店からは乖離していたのです。
●採用
平成15年から新卒採用を開始。利益2000万円のときに採用や教育費用に1000万円をかけています。5年後10年後を背負う人財の重要性を理解されていることがよくわかります。
採用10~15名に対して応募300名があるようです。
現在では約60~70%の社員を大卒の社員が占めています。
また視察当時では障がい者を焼き菓子担当として1名採用されていました。
●当日いただいた資料より
社員の皆さんの声がとても印象的でした。
“パンづくりも好きだけど、会社づくりも大好き”
“私が作りたいパンじゃない。お客様が食べたいパンをつくる”
“経営を学びたい。選んだのは、コンサルティング会社でもITベンチャーでもなく、ベーカリーでした”
●最後に
元銀行マンの横手社長。2年間できっぱりと退職をして、独自の道を歩むその力強さや社会と関わる感覚はどこからきているのか、限られた視察の時間では感じ取ることはできませんでしたが、とても気持ちよくお話を伺った時間でした。
そしてバー経営に成功しながらも、娘さんの言葉を正面から受け取って、別の道に進むことをまねできる人は滅多にいないでしょう。その娘さんは現在代表取締役社長に就任されています。
娘さんの思いを何よりも大切にして姿勢は美しいと感じました。
***補足***
この投稿では「法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室」や「人を大切にする経営学会」での経験をもとに毎週火曜日にお届けしております。個人的な認識をもとにした投稿になりますので、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(人を大切にする経営学会会員;桝谷光洋)
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