No375記憶に残る言葉【三和建設株式会社;森本尚孝社長のお話から】

今回は2019年9月に大阪の立命館大学茨木キャンパスで行われた第6回全国大会の中から三和建設株式会社 代表取締役社長 森本尚孝氏の講演をご紹介させていただきます。

 https://www.sgc-web.co.jp/

●概要(現在の情報より)
社名 三和建設株式会社
所在地
本社・大阪本店 〒532-0013 大阪府大阪市淀川区木川西2丁目2番5号
東京本店 〒101-0035 東京都千代田区神田紺屋町7 神田システムビル4階
京都支店
創立 1947年5月15日
設立 1947年5月21日
代表者 代表取締役社長 森本 尚孝
役員 取締役(代表者含む)3名
資本金 1億円
事業内容
建設工事・開発・環境整備・その他建設に関する事業及びこれらに関する企画・設計・コンサルティング他一切の業務
不動産の賃貸及び売買、不動産の賃貸及び売買の斡旋仲介、不動産の保守・管理・運営に関する業務、不動産事業に関する企画・コンサルティング業務
生産エンジニアリングに関する企画・設計・工事・コンサルティング他一切の業務
建設に関わるインターネットによるマッチングビジネス事業
人材教育及び組織コンサルティング事業
自然エネルギーによる発電事業
企業主導型保育事業
指定管理者制度による公共施設の運営受託に関する業務
宿泊施設、飲食店、レジャー施設の経営
菓子の販売
上記各号に付帯又は関連する一切の業務
社員数 198名(2024年10月1日現在・常勤社員)
技能資格者一覧
一級建築士(12名)、設備設計一級建築士(1名)、1級建築施工管理技士(45名)、1級土木施工管理技士(6名)、コンクリート診断士(1名)、コンクリート主任技師(1名)、測量士(2名)、建築設備士(2名)、建築積算士(6名)、宅地建物取引士(7名)、登録1級建設業経理士(1名)、第一種衛生管理者(1名)、看護師(1名)、保育士(6名)

●建設業界と森本氏入社の頃
三和建設はゼネコンです。
ゼネコンとは工事一式を直接お客様から請け負う建設会社のこと。全国に約22,000社あります。
建設業界の市場規模50兆円、同社の売上は100億円ですからシェアは0.02%に過ぎないとお話されました。

森本社長は元大手ゼネコンから2001年に同社へ転職しています。
当時の業界は厳しい時期で売上と同じくらい借り入れがあったと言うことでした。
社員の定着は悪く、新卒で10名採用しても3年以内に半分は辞めてしまい、時には全滅の年もあったようです。しかし残る社員もいたことから、“人だけが残った”との考えに至ったとお話されました。
巨大な建設市場の中で0.02%の企業は何を目指すべきか。
その答えは“人によって選ばれる会社として永続したい”ということ。
会社が社員一人一人の成長をサポートすると同時に一人一人の社員が自立をめざす。
会社が倒産しても生きていける人財をつくる。
そうなれば会社は永続できるだろうと考えたのです。

●特徴的なこと
・日報は社内SNSで全員にリアルタイムで公開
・年2回全員参加の会議を実施(費用以上に効果が大きい)
・社内手帳を作成、指針や理念が明記されている。掲載した文章は会社として公約したこととなり、責任が生じるという効果がある。
・社員140名のうち女性割合は30%。事務だけではなく営業、設計、現場などすべての職種に女性が配属されている。

●採用と学び
新卒採用は理念採用型です。
ある採用者は採用に費やした総時間は138時間でした。23日間を採用活動にかかわり、社内のあらゆる面を見て体験しています。ギャップがないから離職もないのです。まさに理念型採用です。
そして入社1年目は全員寮生活です。
個室はありますが、1階のリビングを通らなければ自室へ行けない構造で、必然的に交流やコミュニケーション醸成の仕組みがあります。
さらに社内大学があり、学び→現場での疑問→学びのサイクルができていることで、社員の成長を全社規模でバックアップしています。
一般の大学顔負けの立派なシラバスがあり、社内にいながら継続的な学びを提供した人財育成企業です。

●社会的な存在とは?
森本社長は、“貴方は何によって覚えられたいですか?”と問いかけました。
“ゼネコンは違いがわかりにくい。何でもできる=何もできないのではないか”とすら言います。
“何でもできる”ということは特徴がないということ
“何が得意なのか特徴を出すことが大切”
一般の入札でわかる通り、建設業界はお金の判断基準しか提供できていないと言い、お金以外の判断基準を提示しなければならない現実が浮き彫りになりした。
その結果、三和建設は領域を絞り込み、食品工場の建設を得意分野にしたのです。
今では食品工場の分野では上位のシェアになっています。

●最後に
働き方改革を越えて(第6回全国大会テーマ)
森本社長は、企業側がどういう働き方をする会社でありたいか明確にすべきだとお話されました。
単に指標として残業〇時間以内、有給取得〇日などの数字が先行してはダメで、“この仕事は残業してでもやり切りたい”という想いやそのような経験が社員の大きな成長につながることも重要な事実です。同時に、17時には帰宅できることが重要な社員もいることも大切な事実です。
そのような状況も十分考えた上で社員とさまざまな関係をつくることが大切だとメッセージされました。

同社の経営理念“つくるひとをつくる”に直結した一貫性のあるお話でした。

***補足***
この投稿では「法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室」や「人を大切にする経営学会」での経験をもとに毎週火曜日にお届けしております。個人的な認識をもとにした投稿になりますので、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(人を大切にする経営学会会員;桝谷光洋)

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