「ありたい姿、ありたい会社に向けて」

 香川県の人口約3,000人の離島である直島(なおしま)で、宿泊施設と美術館の運営を行っている株式会社直島文化村の吉田浩一と申します。経営人財塾7期生として2024年4月に入塾し、1年間学ばせていただきましたが、この経験は人生において大きな出来事となりました。人財塾との出会いは、3期生の岩手の鈴木陽介さんと別のコミュニティで知り合い、岡山人財塾メンバーをご紹介いただいたのがきっかけでした。2022年から定期的にそのメンバーで集まる会に参加させてもらい、全国から来られる講師やOBOGの方とご一緒する機会を通して、人を大切にする経営とそこに関わる方々への関心が高まり、自身の奥底にあるものが突き動かされ入塾する運びとなりました。

 自社において業績は一定のレベルを維持していましたが、社員のエンゲージメントの課題は置き去りのままでした。社員一人ひとりのやりがいをヒアリングし、会社のパーパスづくりや働く幸せとのつながりを意識した施策を進め、一定の成果はでました。しかし、会社のありたい姿と社員の働きがいのつながりが弱く、手法やバランスに偏りがあり、良い状態の継続が難しい状況でした。そして気づいたのが、これらは全て会社視点、社員視点だと思って進めていましたが、自分視点・自分起点だったということに気づきました。人財塾で学んだ「社長が考える幸せと社員が考えるそれは一致しているか」への答えでした。「吉田さんが考える時間軸と私達では違う」「これまで多くを見てきた人と、これから見ようとする人の景色は違う」と言われました。

 このような経緯から、ありたい姿を社員視点で表現し、それを具体化するためには仕事のやりがいなどの動機付け要因だけでなく、目に見える処遇改善や小さな身の回りの困りごと解消等の衛生要因とセットで展開し、変化が分かり、効果を「実感」してもらうという小さな一歩から始めました。変化を届け、実感してもらうには時間が必要であり、継続することだと学びました。人が仕事で幸せと感じることは個々によって異なり、経営者は狙った施策一つに対して、何か一つを得るというものではなく、ありたい姿に向けたその過程での一つの施策であり、それが目的化するような思考を外すことからと認識して進め始めました。

 あり方を軸にした経営の実態や、数値の先にある本当の目的を見失わない経営を学んだことで、自身も役割の中の思考に留まらず、社員の幸せを追求する責任感と覚悟を持ち、実践を続けたいと強く思います。そしてその結果、社員一人ひとりが「当事者そのもの」として誇りとやりがいを持ち、ふとした時に振り返って幸せだと感じてもらえたら嬉しいと思います。

 出会いとご縁を大切に、日々、社員とともに歩み続けたいと思います。

人財塾7期生
株式会社 直島文化村
吉田浩一

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