「品」と「品位」
弁護士については、弁護士法というのがあります。その2条では、「弁護士は、常に、深い教養の保持と高い品性の陶やに努め、法令及び法律事務に精通しなければならない。」と定められています。
その上で、第56条では、「弁護士及び弁護士法人は、この法律(外国法事務弁護士法人の使用人である弁護士にあっては、この法律又は外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法)又は所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し、所属弁護士会の秩序又は信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたときは、懲戒を受ける。」とし、「職務の内外を問わずその品位を失うべき」非行があったときは、懲戒を受けることになります。同様の規定は他の士業等でもあります。
この「品位」とは何なのでしょうか。
最近は、弁護士がSNSやYouTube等でかなり品のない言動がされる場合があります。しかし、だからといってすべてが「品位を失う」といえるかといえば、そうではありません。
つまり品はないけど品位を失うほどではないということあるのです。
品と品位、同じような意味合いもありつつ、人それぞれで使い分けているように思います。品という場合、多くは外形上の振る舞い、例えば、礼儀正しいというような意味で使うことがあります。そして品がないとは、立ち居振る舞いが劣っているという意味でつかわれることが多いです。
これに対して、品性については、一定の道徳的な生きざま、内心の価値のようなものが含まれているように思います。
いわば、品性には、外からは目に見えない価値のようなものが含まれているのです。
たとえば、物言いや態度がガサツで品がないように見える人でも、人を大切に思い、利他の気持ちで生きている人は、品位があるということになるのではないでしょうか。
私たちが目指すべきは、品の良さではなく、品位を高めていくことだと思うのです。
(学会 法務部会 常任理事 弁護士 山田勝彦)

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