人を大切にしないから労基法が厳しくなっていく

日経新聞デジタル版(2026年1月14日)に、「労基法改正議論、影響大きいIT業界 連続勤務規制でエンジニア不足に」との記事がありました。

2026年度は、見送られたものの、なお改正可能性の高いものです。

いくつかのテーマがありますが、ここでは、「2週間以上の連続勤務規制」を取り上げたいと思います。

現在の労基法では、法35条1項で、「毎週少なくとも一回の休日」を与えなければならない、と定めています。もっとも例外があり、同条2項で「4週間を通じて4日以上の休日」を与える場合は、週1回の休日の規定は適用されません。その結果、4(週間)×7日―4=24日となりますので、全般に4日間、後半に4日間の休日を付与すれば、8週間で48日連続で勤務をさせることができてしまう計算になります。

そこで、「4週間を通じて4日以上の休日」を与える場合であって、2週間(14日間)以上連続で働くことを禁止する改正がされようとしています。

このような改正をする根拠(立法事実といいます)は、厚労省によると令和2年度のストレス評価調査の結果によると思われます。

このストレス評価調査では、ストレス強度を数値化しています。

1 達成困難なノルマが課せれた        6.65

2 セクシャルハラスメントを受けた      5.88

3 2週間以上にわたって連続勤務を行った   5.63

4 1か月に120時間以上の時間外勤務があった 5.53

1か月120時間以上の時間外労働というと、仮に月22~23日稼働とすると、1日約5時間の時間外労働をしていることになりますが、それよりも、仮に所定労働時間働いても2週間以上連続で働く方がストレス強度が高いという結果によります。

事業規模では、2週間以上の勤務をクロス集計すると次のとおりです。

1~9人    1.9

10~29人   2.8

30~49人   0.9

50~99人   1.4

100~299人  1.3

300人以上   1.4 (「労働時間法規の具体的課題について」(R7.10.27)厚労省)

30~49人の規模の会社の数値が一番小さいことになります。

 

このように法律が規制を強めるのは、世の中の会社がリスクを自制してコントロールせず、問題が発生してしまうからです。本来、どの程度働けるかは本人の能力、気力、思い等により異なるはずです。労働規制は、もっと働きたいという人の働く自由を制限してしまう側面をも持っているのです。しかし、それでもなお国が法で規制するのは、世の中の会社が自制できていないからです。

人を大切にする理念の浸透はまだまだ足りていません。

(学会 法務部会 常任理事 弁護士 山田勝彦)

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