甲斐路

野口具秋です。
 
ガツンと大きな音がして先行車が停まった。
何事が起こったのか理解できず、
前席の仲間に聞くと、参道の杉に接触したらしい。
降りて見ると、バンパーとフェンダーの一部が
見事に石畳に仲良く落ちている。
軽に毛の生えた程度の大きさで低速運転、
どうしたら、部品が脱落する事故になるのか。
首を傾げ、大きく破損した部品を手に取り、しげしげ観る。

長い仲間だが、一泊の旅は初めてである。
八王子で乗り合わせ、
合流した途端に、発泡酒とジャムパンが配られた。
安っぽいおにぎりが来て、急に食欲が失せる。
美味しい駅弁とビールを約束していたのです。
幾つもあるスーパーの袋を覗くと、
竹輪やカニかまが10個以上入っています。
食パンやがんもどきがありました。
キャンプに出掛けるのではなく、
これから源泉かけ流しの石和温泉に行くのです。

この地に大学時代からの同級生が居ます。
石和温泉に泊まるのは50年ぶりです。
桃の花咲くころが最高の季節で、
桜花の淡いピンクより数段濃い桃花は
観る者の心を魅了して止まないのだそうです。

昭和40年代前後のこの温泉地は素朴で、
露天風呂は燦々と降り注ぐ太陽の下、
混浴と大らかで良い時代でした。

車でわずかな時間で行ける名勝の地になりました。
最新の報告では日本で1番住みたい県になりました。
不慮の事故で楽しみにしていた
「ほうとう」にはありつけませんでした。
田んぼの中に突然涌いた温泉を
おもちゃのような、ダイハツ「ミゼット」で
混浴を求めて、温泉巡りをした
昭和の御世を懐かしくなぞるのです。

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