株式会社さんびる【No15いい会社視察2018/2/16】

今回は2013年3月の「第3回日本でいちばん大切にしたい会社大賞」にて審査委員会特別賞を受賞された『株式会社さんびる』さんをご紹介致します。
2018年2月に坂本ゼミでは最後となる春合宿視察先のひとつとして訪問させていただきました。

当日は同社が本社ビル1階で運営する創作イタリアンレストラン『Pasta Grazie』での昼食をいただいてから、田中社長の講話を90分、施設見学30分など12時半~17時まで長時間にわたり滞在させていただきました。用意周到に準備された内容で社長はじめ社員の皆様に感謝の気持ちでいっぱいになりました。

同社は1963年に竹田俊美氏が清掃業務に従事したことから始まります。1977年に前身となる株式会社山陰ビルサービスが設立され、同地域におけるビル管理事業を拡大していきました。2005年には現在の株式会社さんびるに社名変更、2006年には竹田俊美氏は会長となり、現社長の田中正彦が社長に就任されます。

以前こんなことがありました。
・ある社員が子供の学校への届け出資料に、さんびるの社名ではなく清掃で派遣された大きな病院名を書いていました。あるとき、その子供が急病となり学校は親御さんに連絡を取るために病院に連絡したからこの事実が発覚しました。
・また別な社員は清掃の際に身に着けるユニフォームにある社名の刺しゅうをはがしていました。
これらを聞いた田中社長は情けなさ、やるせなさを感じずにはいられませんでしたが、逆にいい会社とはどんな会社かを考えるきっかけになったと言います。そして、“目に見えない価値観を揃える。環境整備という事業から実践する”という思いになり、同社の仕組み作りが始まります。
田中社長はわかりやすく、“根っこの話”という例え話をしてくれました。
「種を植えるとどうなりますか?」
「目が出る・葉が出る・花が咲く・実がなる・枯れる」という会場の答えに対して、
「田中社長から忘れていることは?」の問いかけ。
「そう、根が出るが最初!」一同納得。
この見えない部分が大切だというお話です。
経営者であっても社員であっても同じで、見えない部分の存在を考え、意識することで親や先祖、命への感謝、ご縁やご恩など、今いる自分が生かされていることに思いを繋げることの重要性を強調されました。
そして根が大きくなれば、人生も豊かになる。
大地があって花は育つ。環境が人を育てる。
このような思いの中で、社員を育てるために社内の仕組みがつくりあげられていきました。

同社ではさらにこの考え方に地域を大切にすることを加えて、地域×社員育成=さんびる文化 と考えています。

現在の事業は、主力のビルメンテナンスに加えて指定管理、健康福祉、フード、さんびるアカデミー、経営サポートと拡大していますが、ビルメンテナンス事業で培った“おもてなし”の文化を人つくりに昇華させたことで、事業を無理な急拡大ではなく多角化させています。

いまでは、同業者から事業譲渡の相談があるほど地域ではなくてはならない存在となっていて、一緒になった社員たちはさんびる文化に触れることで生き返るといいます。
“どんな企業も人財育成業である”という坂本先生の教えを目の当たりにした思いでした。

***補足***
この投稿では2012/4~2018/3までの6年間法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室で経験した【いい会社視察】・【プロジェクト】・【授業で学んだこと】を中心に、毎週火曜日にお届けしております。少しでもお読みいただく皆さまのお役に立てれば嬉しい限りです。個人的な認識をもとにした投稿になりますが、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(桝谷光洋)

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