「ガラパゴス」司法
▼「ガラパゴス」司法
1月21日の日経新聞に「法争力を問う」と題して
日本企業の国際紛争における困難さが問われています。
ご承知のとおり、日本の裁判は迅速化を進めていると
言われるものの、争いが厳しいと最初の地方裁判所の
判決が出るまでに1年~2年かかってしまいます。
更に、諸外国ではIT化が進んでおり、オンラインでの
文書提出ができたりしますが、日本ではやっとその方向を
検討している段階です。また判例についても、
アメリカでは判決文も証拠もネットで検索できますが、
日本では最高裁判所が公開している公的なデータは、
判例のごく一部に過ぎず、証拠も開示されていません。
日本の弁護士は、民間企業による判例データベースを継続登録し、
データを個別に検索しています。
▼国際仲裁
国際取引においては、お互いがどこの国の法律により、
どのような司法制度で問題を解決するかを決めるのが一般的です。
しかし、前述したとおり、日本の司法は「ガラパゴス」状態と
みられているため、日本法による日本の司法制度で
解決を求めるように合意することがとても難しい状況です。
そのため、多くの国際取引においては外国法が適用されることとなり、
また解決の手段として国際仲裁が選ばれています。
日経新聞でも指摘されている通り、
国際仲裁は第三者に問題を解決してもらう制度ですが、
仲裁人も外国人であり、また適用される法律も外国の法律となると、
欧米の弁護士事務所に事件を依頼しなければならず、
多額の報酬を支払わなければならなくなったりします。
▼日本の企業を守るために
これからの時代は、日本の多くの中小企業も海外取引を
進めていかざるを得ない経済環境にあります。
しかし、紛争に多額の報酬を支払うだけの余力のある企業は
それほど多くありません。
日本企業が泣き寝入りしないために、
そして日本企業の海外取引の発展のために、
日本の法律が選ばれ、日本における裁判または調停などが
活用されやすい司法環境を作ることが急務になっています。
(学会 法務研究部会 常任理事 弁護士屋山田勝彦)
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