社会福祉法人アンサンブル会【No67いい会社視察2013/3/16,2016/5/14,2017/8/23】
今回は2013年3月、2017年8月に坂本ゼミの合宿先として、2016年には小椋代表に法政大学大学院の教室で特別講義をしていただいた『社会福祉法人アンサンブル会』さんをご紹介致します。
●概要 https://ws-ensemble.com/
社会福祉法人アンサンブル会
設立 2001年11月
代表者 理事長 小椋 年男
所在地 長野県下伊那郡松川町元大島1339-1
サービス
・就労継続支援B型事業所 (アンサンブル松川第Ⅰ、伊那第Ⅱ)
・多機能型施設 (アンサンブル松川第Ⅱ、伊那第Ⅰ)
・グループホーム (アンサンブルホーム松川、伊那)
・ヘルパースタジオ アンサンブル
・相談支援事業
・移動支援事業
・放課後等デイサービス (アンサンブル伊那)
福祉事業費収入 9億4000万円 (単体) (2018年3月期 実績)
従業員数 123人 (2019年2月現在)
平均年齢 42.0歳/定年 70歳
殆どの職員は正社員。60歳を超えても正規職員として採用。20代の職員は120人中34人。
●アンサンブル会とは(HPより)
障害のある人たちの社会的な自立を実現するため必要な支援を最適に行う組織、それがアンサンブル会です。
私たちが目指すものは、知的障害のある人達の社会参加と自立です。それは同時に「親亡き後」というテーマの終焉を意味します。仲間とともに働くこと、生活することがとても大切です。そして親元を離れ、自力で生活できるように訓練することが絶対に必要です。 そのためにアンサンブルでは、昼間の働く施設(日中支援事業)と仕事が終わってから暮らすグループホーム(グループホーム事業)の両方を整備しています。
●視察の際に小椋理事長から伺ったお話
小椋さんは会津若松出身。
30数年前に東京からこの長野県下伊那郡松川町に引っ越しをされています。その頃生まれた長女に知的障がいがあったことがきっかけで縁もゆかりもない長野県の地に障がい者のための施設を設立しました。
“長女は養護学校を終えたあとどうすればいいのか?”親として真剣にならざるを得なかったのです。考えた結果は、社会に参加すること=仕事をすること、だと考えました。北欧では1970年代から障がい者の自立が議論されるようになり、健常者と障がい者を区別しないノーマライゼーションの考え方が発展していたことも参考にされたと言います。
“アンサンブル会でできたことはどこでも誰でもできる”と言います。なぜならアンサンブル会はほとんど公的な制度のみしか今まで活用していないからです。経済的なバックアップやスポンサーはなかったのです。地元の人間でもなく土地もありませんでした。ないないづくしでもここまでできるということを、小椋理事長の言葉は力強く証明していました。
●開設当初
開設当時は法定最少人数である通所20名で開始します。(国と県で75%の費用補助)
近所の養護学校に子供を通わせる親が入れ代わり立ち代わり見学にきて、“同じものを作ってほしい”と言ったそうです。中には重度の身体障がい者や身体と知的障がいを併せ持つ障がい者もいたため支援できる施設として平屋を作っています。国の制度では平屋は対象外だったため、小椋さんは日本財団に何度も掛け合い75%の補助をしてもらいました。そのように広がっていきました。
●仕事内容
景色が素晴らしいところでした
仕事は農業班・アウトドア班、スイーツ班、ランチ班、カフェレスト班にわかれていて、野菜の通販(無農薬・有機栽培)、クッキー等の販売、薪販売、カフェ事業、食事作り等で2012年度は約7200万円の売上を計上していました。
最近では、『ひのきの畳床』(厚さ0.2mmひのきのウッドウールを畳床に用いた天然件健康畳)の販売に力を入れています。特許を取得した製品はひのきの間伐材を100%使用し防虫効果やヒノキの香りが持続するなど今までにない畳を作ることに成功しました。
*GTF Green Challenge下AWARDS間伐・間伐材コンクール2014 林野庁官賞受賞
●利用者さんの生活モデル(2016年データから)
収入 年金(65,000)工賃(30,000)家賃補助(10,000) 合計105,000円
支出 ホーム利用料(52,000)、給食自己負担(4,000) 合計56,000円
差し引き 49,000円 →各自が自由に使えるお金となります。
・ホームは松川に4か所、伊那に3か所、重度ケアホームは伊那に2か所。
・アンサンブル会では126名中80名がホームで生活。
・グループホーム利用者の約2/3の利用者は週末に帰宅
・グループホームに10年以上在籍した人に対して親亡き後や老後生活費のためアンサンブル会が月10,000円負担をして積立をしています。
ご訪問の時に建設中だったホーム
●最後に 障がい者の自立とは親の自立でもあるということ
障がい者が親元ではなく、ホームで暮らす“居住の自立”にも大きな意味があることを知りました。親元で暮らす場合に、障がい者の年金や工賃が親の生活費になってしまうことがあるといいます。障がい者の自立は親の自立でもあるという現実を知りました。
“親は障がいに対して素人”、“手元に置いて丁寧に育てたいとは嘘”という言葉が印象的でした。障がい者の生涯を背負った責任の深さあってのことだと感じました。現場・現実・現物の厳しさを感じます。
***補足***
この投稿では2012/4~2018/3までの6年間法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室で経験した【いい会社視察】・【プロジェクト】・【授業で学んだこと】を中心に、毎週火曜日にお届けしております。個人的な認識をもとにした投稿になりますので、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(人を大切にする経営学会会員;桝谷光洋)
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