風土改革すると業績が向上する
2018年度の1年間、人を大切にする経営学会 人財塾に参加しました。参加の目的は、建設業向け技術コンサルティング事業を行うにあたって、建設業が人を大切にする経営を進める手法を学ぶことでした。建設業は自然相手に仕事を行うこともあり、長時間残業、休日数が増えるという課題があります。
坂本光司先生の講演、人を大切にする経営実践者の講演、企業訪問を1年間繰り返しました。「ここまでするのか」という驚きの連続でした。
そして、まずは自社を改革すべきであると考え、以下の制度を構築しました。
・教育支援制度
社員一人当たりの教育費用を10万円とする
自主的に学びたい研修等を選定し、受講できるルールを設定した
・時差出勤制度の創設
・ベビーシッター、預かり保育補助制度の創設
・健康診断補助の拡大
・資格取得報奨金の増額
・賃金規定の見直し
通勤旅費、住宅手当、家族手当、出張手当の拡充
・慰安旅行補助の拡充
・インフルエンザ予防接種費用の全額補助
・外注会社(特に個人事業主)への支払いサイトの短縮
しかし制度の構築だけではうまくいきません。制度より風土が重要です。そこで私は次の3つを社員さんが感じる社風づくりをしようと思いました。
・言いたいことを言える
・会社から大事にされているという実感が持てる
・社員が会社は自分のものだという当事者意識を持てる
まず、会議のときに、社長である私はもっぱら聞き役になりました。以前はワンマン社長でしたので、提案はほとんど聞かず、聞いても採用していませんでした。毎月、社員さんより改善提案を出すようにして、それに対して反論せずじっくり聞いて、ほとんどの提案を受け入れました。すると徐々に何でも話せる、何でも聞いてもらえるという雰囲気になりました。MA(ミーティングオールスタッフ)を開催し、社員さんの意見を聞く場も増やしました。
また会社情報をよいことも悪いこともすべて開示しました。そのことで当事者意識が増したように感じます。
これら改革の結果、経費として支出される金額は増額となりました。これらをコストではなく、人に対する投資だと考えました。その後、売り上げ、利益とも増加したのです。人を大切にする経営を進めることで、社員さんや関与する方々の熱意が高まり、その結果として業績を向上させることができることを証明することができました。
この結果を多くの建設会社にて実践してもらい、同様の結果を出していただくために、学んだこと、実践したことを書籍に著しました。そして「建設版働き方改革実践マニュアル」(発行日経BP社)を2019年9月に発刊することができました。
建設業の担い手を確保し、現場にて笑顔で働けるようにすることで、災害被害のない安全で安心を感じる日本の国土を作ることができるよう、これからも前進します。
人を大切にする経営学会人財塾一期生/ハタ コンサルタント株式会社 降籏 達生
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