太陽の家(中村裕先生の勇気)

太陽の家(中村裕先生の勇気)

太陽の家への訪問
今年の9月26日、坂本先生が関わる経営者団体の視察で大分にある
太陽の家を訪問させて頂いた。
太陽の家を創設した中村裕先生のビジョンと行動力、
特に障がい者にスポーツを通じて社会との関わりをつくり、
そして働く場を提供すべく奔走し、大手企業との間でいくつもの
障がい者の働く場を作っていったことに深く感動しました。
特に私は法律家ですので、法的な観点からも、中村裕先生は強い意志と
勇気をもって、この事業を作っていったのだと思いました。

リハビリとして障がい者スポーツを始めることの難しさ
中村裕先生は、イギリスのストークマンデビル国立脊髄損傷センターの
研修の際に、そこでリハビリをしている障がい者の方々が
生き生きとスポーツをしている姿を見て、衝撃を受け、
日本の障がい者にも楽しくスポーツを体験して欲しいと考え、
日本に戻って自らの病院でリハビリとしてスポーツを導入した際には、
周りの人や障がい者の親族等から強く反対されたとのことです。
しかし反対だけが問題ではありません。これを法律的に見ると、
リハビリは、患者さんの障がいの改善を図る目的で行われるものであって、
医師と患者さんは、そのようなリハビリを受ける診療契約を
結んでいることになります。もし、そのリハビリの過程で、
障がいを改善するのではなく、スポーツ等の影響で怪我をしたり、
障がいが悪化すれば、債務不履行責任といって、
損害賠償の責任が生じてしまいます。当時の法律でもそのような
責任が生じる危険がありました。
それでも、中村裕先生はそのような危険を乗り越えて
スポーツによるリハビリを実践していきました。

法律は無色
法律は無色です。色を付けるのは世間における法律の運用です。
もし、障がい者の方がこの当時、スポーツによるリハビリをしていて
怪我をしてしまった時に、その方や親族の方が損害賠償の
請求をしていたら、どうなっていたでしょうか。
お聴きした限りではそのようなことはなかったようです。
法律は、世の中の運用次第で、良法にもなり悪法にもなります。
私たち弁護士は、法律の運用が、悪法、つまり信念をもって
人を大切にする経営者の経営を妨げるようなことにならないよう
中村裕先生の勇気を学んで、経営者をサポートしていけたらと
思っております。
(学会 法務部会 常務理事 弁護士山田勝彦)

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