かっこちゃん。
名古屋は雨上がりの曇り空、ひんやりとしたお昼です。新幹線ホームのベンチにの目の前に、鳩が1羽所在無げにうろうろしてます。足が冷たそう。あっ、新幹線が来てしまったので、続きは車内で書くことにしましょう。
みなさんこんにちは。坂本ゼミブログ土曜班の井上です。なんだか書く余裕が無くて少し間が空きました。そのせいか、今回はちょっと長くなってしまいますが、どうかどうか、最後までお付き合いください。
以前ブログに掲載した、「1/4の奇跡」のかっこちゃん(山元加津子さん)が、ブログにコメントを入れてくださったのを切っ掛けに、メールのやりとりをしていました。かっこちゃんと気安く呼ばせていただいているのは、そうしてほしいと切望(笑)されたからです。でも、そのおかげでとても近く感じられます。まだそれほど期間はたっていないのですが、かっこちゃんが送ってくれるメールやメルマガなどで、たくさんのことを感じ、学ぶことができています。子供の頃のピュアな心が少しずつ戻ってきている気がしています。ほんとうにありがとうございます。
事故や病気などで、いわゆる「植物状態」と診断された人がたくさんいます。その人たちは、手も足もまぶたも眼球も動かすことができず、もう意識はない、と決められます。また、治る見込みはない、と言われてしまいます。しかし、そうではなく、見えたり聞こえたりしていても、どこも動かせないから答えられない「閉じ込められた」状態なのです。実に、何年もその閉じ込められた状態にある人が居ます。伝えられないから、あきらめてしまう。
想像してみてください。あなたが病気や事故にあい自分がなに1つ表現できない状態になって、でも生きていて、周りの人が「もうだめだね。」と言っていたり、「がんばって!」と応援したり愛の言葉を伝えてくるのが聞こえる。でも何もできないその状態を。
かっこちゃんは、そういった人たちの回復の可能性と、意思を伝えることができるすばらしい機械(意思伝達装置)があること、そして、病気や障がいも「ふつう」であることを1人でも多くの人に伝えていく仕事をされているのです。応援せずにはいられません。
今回は、僕が送ったメールを、かっこちゃんがメルマガに掲載してくれたので、そのメルマガを丸ごと掲載させて頂きます。本当はかなり照れくさいのですが、このメルマガや、かっこちゃんの活動が1人でも多くの人に伝わる方が大切だと思ったからです。
以下にメルマガを掲載します。もちろんかっこちゃんには快諾いただいてます。
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第808号 宮ぷー こころの架橋ぷろじぇくと
2011年10月21日現在 参加者人数5019人
「10/21 昨日の宮ぷー」
このメルマガを初めて読まれる方へ
メルマガの生い立ちをこちらのページに書いていますので、ご参照ください。
http://ohanashi-daisuki.com/info/story.html
今日で宮ぷーは倒れて二年と八か月前になりました。おとといの夜、病院へ行くと宮ぷーが「おかえりなさい。こころまちにしてたよ。ほんとうにうれしいな。あえてさいこうだよ。であえたこともきせきにちかいな」と言ってくれました。そんなふうに言ってくれて、うれしそうにしてくれて私もとてもうれしかったのです。でも、日記のメルマガを読んだところ、泣きだしてしまって、どんなになぐさめても、泣きやまないで、気切も閉じていないのに、声をあげてなくのです。どうしたの?と聞くと宮ぷーは「もし、かっこちゃんいなかったら、ずっとべっどにねたきりでえいようをながしたまま、おいておかれるからだになった もしそうなっていたらぼくはいきていても つらいまいにち」そう言って泣きました。私も声を上げて泣きました。
二年と八か月前のあいだに、宮ぷーは今、思いを伝えられるし、食べることもできるし、手も足も少しだけど動きます。「かっこちゃんだれもそんなことうれしくない」とまた宮ぷーが泣きました。「宮ぷーだけがよかったらいいわけじゃないから、きっと変われるようになるよ」と私はそう言いました。
昨日、いただいたメールです。
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かっこちゃん、順子と言います。かっこちゃんはどうして、変わるとは思えないことにも、一生懸命になれるんですか? 私は高校生です。地震のあと、東京は節電体勢の大切さが言われていました。私は自分ができることがしたかったので、節電のシールを貼ったり、電気を自分で消すことをしてきましたが、それからは「東電の回し者」と言われたり「とーでん」とあだ名がついたりして、いじめがはじまり、私は続けることができませんでした。かっこちゃんはそういう経験はありますか? あったらお話してほしいです。
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ああ、順子ちゃんつらかったね。でもきっと、今はそのことの大切さについて、きっとみんな少しずつわかってくれているのではないでしょうか? そして順子ちゃんの心の痛みをみんなも私、きっと覚えているのじゃないかと思う。順子ちゃん、自分の思いを信じて行ったことは、いますぐ結果が出なくても必ずつながっていくと信じています。
私にもたくさん経験があります。最初に特別支援学校に勤務したときに、どうして、子どもたちの素敵な作品に、金沢市A子というような仮名とかイニシャルで飾られなければならないのかという思いが強くありました。それは、子どもたちが子どもたちとして生まれて来て生きているということすら隠されているという現実があったからなのです。それで、本名をつけた作品展をしたいとずっと願っていました。素敵な絵ができあがったときに、おうちの方に了承を得て、名前をつけてポストカードを作ってみたり、小さな画集を作ることから始めました。たくさんの反対がありました。「さらしものになぜしなくてはならないのか」と言った批判が私ばかりかおうちの方にもありました。
でも、10年たって「たんぽぽの仲間たち作品展」が開催できるようになりました。私がまだ、本を出版していただく少し前の出来事でした。その作品展を、全国で知っていただいて、作品が旅をするようになりました。同じことを考えておられた方がきっとあちこちにもおられたのだと思います。そのあと、どんどんあちこちで名前をつけて作品展が開かれるようになったのは本当にうれしかったです。
それから、次に、雪絵ちゃんが亡くなった頃のことです。雪絵ちゃんが「病気や障害が大切だと世界中の方があたりまえに知る世の中にしてほしい」といい、それが遺言になったときに、私はどうしても約束を守りたくて、本を書いて、でも書くだけではだめだと思って、書店さん周りを一人でしました。ポップを作って持っていって、一緒に飾ってくださいとお願いしたり、多くの方に読んでほしいとお手紙を書いたり、雪絵ちゃんの願いのCDを作ったり、いろんなことをしたなあと思います。やっぱり、何かしても変わらないように見えても、何かしないと何も起きない。だから、どんな
に小さな力でも無力じゃないと思うのです。だから、私はやっぱり負けないで頑張ります。
いろんなことがあります。つらいメールやお手紙をいただくこともあります。でも、だいじょうぶ。きっと天が応援してくださる。そしてみなさんがいてくださるよ。順子ちゃんにもみなさんがいてくださる。好さんのときに、いっそうそう思いました。5000人のみなさんは、私の友だちではあるけれど、お一人お一人のお友達だよ。どんなことも受け入れて、応援してくださるみんなです。だから、正しいと思うことは突き進もう。そうしましょう。
「日本で一番大切にしたい会社」を書かれた法政大学大学院の坂本光司先生のお部屋の竜ちゃんからのメールです。
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かっこちゃん、こんにちは。今日の名古屋はとてもいい天気で気持ちが良いです。昨日は坂本先生に同行して島根県の大森という町に行ってきました。中村ブレイスの中村社長と、われらが坂本先生の講演のためです。神の国で生まれ育ち、人のために仕事をしてきた中村社長は、福の神のような笑顔で僕たちを迎えてくれました。微笑まれたらさいご、ぜったいに笑顔にさせられちゃいます。かっこちゃんと会ってほしい人がまた一人増えました。
島根県大田市大森町は、石見銀山といえばご存知かもしれませんね。そこに、中村ブレイスという義肢装具をつくっている会社があります。http://www.nakamura-brace.co.jp/
生まれつきや、事故で手や足を失った人のために義手や義足をつくっています。さらに、メディカルアートといって、指や手や耳や、乳がんで失った乳房などをとてもリアルに再現して、多くの人の心を救っています。ほんとうに本物に見えるぐらいで、手が置いてあるとちょっと怖いほどです。子供のころからずっと隠し続けた障がいのある手を、メディカルアートのおかげで同窓会に行っても誰にも気づかれず嬉しかったという話もありました。乳房はそのままおふろにも入れる。旅行に行っても入れなかった温泉に入れるようになりました、という話もありました。
世界中からこの辺境の大森まで、義肢装具やメディカルアートを作りにやってくるそうです。フィリピンの貧困の田舎で生まれた、うまれつき四肢障がいの子供は、歩きたいんだと涙を流し、中村さんはそのためにできるだけ安くて現地でも作れる義足は無いかと苦心しました。普通の義足は数万円からして、現地の経済力ではとても買うことができないことと、こどもはどんどん成長して、すぐに義足が合わなくなってしまうからです。たくさんの苦労の末、現地の竹細工職人とひっしに力を合わせて、ついには竹で編んで作った義足を完成させました。ご両親や本人の嬉しそうな笑顔や涙は輝いていました。
全部書くと長くなってしまうので、この話はここらへんにしておきますが、中村社長の話を聞いたりフィリピンの子のビデオを見ていて、僕は、かっこちゃんのことを思いだしていました。この生まれつき四肢障がいの子は1/4の子だ。まわりにいる兄弟や友達は彼のお蔭で健常なんだな。だから彼に対し、自然に優しくて、自然に助けているんだなぁ、と考えていました。そして中村さんが作った義肢はかっこちゃんが教えてくれた、レッツチャットのような意思伝達装置とおなじ感じがしました。世界中に、こんなに安くて使いやすい義足があるのを知らない人も多く居ると思います。この講演会は将来の企業家のために坂本先生がずっと関わってきた勉強会の1つで、起業を志す人の中で1人でも、何かを感じてハンディのある人を助ける仕事を始めてくれたらなぁと、中村社長の後の坂本先生の講演を聞きながら思っていました。
すると突然、坂本先生が、ゲスト参加していた校長先生たちに向かって、「山元加津子さんの「1/4の奇跡」を、皆さんが読み、ぜひ子供たちに読ませて下さい。」とお話になりました。しかも2回繰り返しました。坂本先生は本当に大事なことは2回繰り返して話をされます。本のタイトルだけなら5回は繰り返してたと思います。
僕はビックリしました。その時まったく同じことを考えていたからです。以前に坂本先生と、日本中の学校で子供達全員に「1/4」を配ったらまちがいなくわが国が良くなるのにね、なんて話をしたのを覚えていてくれたのか、たんなる偶然かわかりませんが、そんなことがありました。地域の校長先生が5~6人参加されたのは、県の方のアイディアで急きょ実現した、今回限りのゲスト参加でした。
偶然・・・じゃないよね。校長先生たちは、かっこちゃんの本のタイトルをメモしていたようですから、実現してほしいなと強く強く、心から願っています。長くなっちゃった…。お忙しいのにごめんなさい。竜一郎
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わあ、竜ちゃんありがとうございます。坂本先生ありがとうございます。感激です。すごくすごくうれしくて、本当に本当にありがとうございます。知らないところで、こうして支えてくださっている方がおられること、ただただありがとうと思います。雪絵ちゃんがどんなに喜ぶことでしょう。
病院へ行くと宮ぷーは、日曜日と月曜日のお天気を気にしていました。だって、初めてのリランに乗ってのおでかけなのです。どっちの日になるかわかりませんとお話ししたら、看護師さんは、その日に紙に書いて外出届を出せば大丈夫。一番よいお天気の日に行ってくださいねと言ってくださいました。
そのこともうれしかったし、それから、私は11月3日の村上先生とのサンマークさんの講演会に来ていただきたいなあって思っている方がいて、その方に来てほしいですとお電話したら、行きますよ、行きましょうと言ってくださったのがうれしくて、帰りにエレベータが一階について、もう下のロビーは薄暗くて誰もおられなくて、私はうれしいから、スキップをしました。そしたら、急にソファから人ががばって起きたので、私はおばけみたいに思って、きゃーとびっくりしたら、その方が大笑いで笑って、「病院に来て始めて笑った」と言われました。
「ねえさん、すきっぷしとったね」とおっしゃったので、「うふふ、うれしいことがあったんです」と言いました。「久しぶりにスキップみたわ。スキップしとると楽しいやろ」と言われました。「おじさんもしますか?」と聞いたら「できないよ」と言われたので「足が痛い?」と聞いたら、「大人になったらなかなかできん」そうです。でもすればいいのにね。あはは、うれしいうれしい、うれしいです。手をひっぱって一緒にスキップすればよかったな。
かつこ
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このメルマガは脳幹出血で倒れ、これまでの医学の常識では再起不能と思われていた宮ぷーの病院での毎日を、親友の山元加津子が綴った日記からその一部を配信しています。紆余曲折があり、今は宮ぷーの願いは自分の経験を通して意思伝達装置のことをみんなにお知らせすること。その願いの実現に近づくようにこのメルマガを広めることにお力を貸して下さい。お友達に転送お願いします。
詳しいことは、こちらのページをお読みください。
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かっこちゃんと、坂本先生や中村社長やラグーナ出版の森越さんや川畑さんと会ってもらえたらいいなと思っていますが、今ここでできることはこれ。
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井上竜一郎
竜ちゃんありがとうございます。
坂本先生、みなさん、本当にありがとうございます。みなさんともっともっとお近づきになりたいです。
だから、竜ちゃん、とってもうれしかったです。ありがとうございます。
かっこちゃん、コメントありがとうございます。
坂本先生やみんなと会える日はそう遠くはないと思います。
いつも坂本ゼミのみんなでおうえんしてます。
たくさん勉強させてもらって、ありがとうございます。